Editor's Note

ブランド草創期から芸術性に優れた時計を志向し、美観を証明する品質基準であるジュネーブ・シール認証を1901年に初取得して以来、多数の認証取得モデルを製造し続けている。その流れはメティエ・ダール・コレクションとして現在も息づく。また、創業から260年以上に及ぶ時計製造で培われた機械技術やノウハウも膨大で、世界で最も複雑な時計といわれる2015年発表の懐中時計「リファレンス 57260」は、その一つの集大成として57もの機能を搭載した逸品として話題になった。美術工芸の多彩な技法と歴史に裏打ちされたトップクラスの製造技術の両輪が、ヴァシュロン・コンスタンタンを数多のブランドとは格を異にする存在へと押し上げている。

創業年
1755年
創業地
スイス ジュネーブ
拠点
スイス ジュネーブ

Brand History

1755年にスイス・ジュネーブで創業。以来、事業を継続してきた世界最古のブランドだ。18世紀半ばのジュネーブには、技術のみならず知性や感性を兼ね備えた時計職人が多く集まっており、彼らは屋根裏部屋(キャビネット)で時計づくりを行ったため“キャビノティエ”と呼ばれていた。
そのキャビノティエの一人、ジャン=マルク・ヴァシュロンが時計工房を開いたことに端を発する。ジャン=マルクは、それまで分業体制で行われていた時計づくりをひとつ屋根の下で行う協業体制を築き、彫金細工などを施した美しい懐中時計で上流階級の人々を魅了した。19世紀になるとビジネスの才を持ったフランソワ・コンスタンタンが事業に参画し、社名をヴァシュロン・コンスタンタンへと改称。フランソワはブランドの世界進出を押し進め、より高精度、より美しい時計を追求する企業理念を育んでいった。20世紀半ばには、アメリカやスイスの天文台が主催する精度コンクールで第1位を次々と獲得したほか、薄型ムーブメントの開発でもトップの座に名を連ねることになったが、それらはフランソワが確立した企業理念の賜物といえるだろう。
1996年に時計を中心とした大手コングロマリット、リシュモン グループの一員となり、2004年にはジュネーブ郊外のプラ・レ・ワットに新しいマニュファクチュール(自社一貫生産)を開設。2006年よりレギュラーコレクションのほかに、完全オーダーの時計やユニークピースを製作する「レ・キャビノティエ」サービスを展開している。2015年には57もの機構を詰め込んだ世界で最も複雑な懐中時計「リファレンス57260」で時計関係者の耳目を集めた。