アットホームで実家にいるみたいな店
2016年から、外国人向けに江戸川区の食の名店を紹介する「EDOGAWA美味NAVI」というインターネット番組のレポーターをやってるんです。2020年に向けて、寿司や天ぷらだけじゃない日本の美味しいものを紹介する番組。その取材で知ったのがここ「肴のよろず屋」さんなんだけども、すごくアットホームで、なんだか実家にいるみでぇだなぁと(笑)。新潟料理専門店なんだけど、ダシの取り方とかが山形と似てるところがあるの、ちょこっとしょっぱくて。里芋が入った汁は青森のじゃっぱ汁とか米沢のけんちん汁とかいろいろあるけど、ここののっぺい汁も本当にうめぇんだ。山形の蕎麦もうんめぇけど、つなぎに布海苔(海藻)を使うへぎ蕎麦もうんめぇし、何といっても地酒がこんだけ揃ってるし(笑)。
馬刺しが有名。山形に帰ったときの行きつけ
学生時代、佐渡に文弥人形の研究をしに行って半年ほど住んだことがあるんだ。そのときの家も真野鶴っていうお酒の蔵の近くで、よぐ飲んだなぁ。普段、家ではビールとワインだけども、外では日本酒。自分で行く店も、日本酒に合う豆腐とか蕎麦とかシンプルな料理がある、昔ながらの居酒屋が好きだ。私の場合はアメリカに帰省しても、蕎麦食だいなぁ納豆食だいなぁって、なりますから(笑)。
でも、そういう「日本食の美味しさ」を英語で説明するのって、本当に難しい。例えば「もちもちした歯ごたえ」。英語だとChewyが近いけど、あんまりいいイメージの言葉じゃない。だからどうやって説明しようかって悩むんだけど、スタッフはそんな葛藤を知らないから、「なんでそんなに悩むんですか、本当に英語が母国語なんですか」なんて言う(笑)。食感を伝える以前に、それがどんな食べ物か説明しないといけないし。難しいけど楽しいんだなぁ。
妻の実家が米沢なんで、山形にも年に一度は帰ります。「萬両」は、10年くらい前かな、もう20年以上の付き合いになる山形大学の先輩に連れられて行ったのが最初。馬刺しが有名で、行ぐたんびにいっぱい出てくる(笑)。山形県人といっても十人十色だけど、みんな礼儀正しくて、でも酒入るとすぐ仲良くなってよく笑う(笑)。んだから、飲んでて楽しいなぁ。
講演の仕事で全国を回りますが、最近は島探訪が多いかな。壱岐や隠岐、対馬とか、文化も歴史も独特で海の幸もうめぇし(笑)。日本は本当に深くて、面白い。これからも、日本の多様な魅力を海外に発信していぐだいと思うのよ。
ダニエル・カール/Daniel Kahl
山形弁研究家
1960年、米カリフォルニア生まれ。高校時代に交換留学生として奈良に、大学生時代には大阪・関西外国語大学に学ぶ。卒業後、文部省英語指導主事助手として山形へ赴任。その後上京し翻訳・通訳会社を設立。メディアを通じて、日本の魅力を内外に発信し続けている。
肴のよろず屋
都内でへぎ蕎麦と地酒を楽しむならこの店だ
住所:東京都江戸川区西葛西6‐7‐10 メトロセンター3番街
TEL:03‐3869‐4477
営業時間:17時~24時(23時LO)日曜休
席数:座席50席 予約可 カード可 分煙
萬両
ニンニク醤油で食べる馬刺しと山形の銘酒を地元の人と楽しむ
住所:山形県山形市幸町6‐10
TEL:023‐631‐6334
営業時間:17時~23時 不定休
席数:座敷27席、カウンター10席 予約可 カード不可 喫煙可
text:Kie Oku
photograph:Yuta Fukizuka/Tetsurou Chiharada
from:PRESIDENT 2018.11.12