第六回「40代のスポカジ、足元はどうする!? 問題」

「スポーツするわけでもないのに、カジュアルコーデにスニーカーを推す理由とは?」

【A】天気のいい休日のランチタイムって、時間に追われることもなくていいよね。それにここは開放感もあって居心地いいな~。

【K】そうね、平日に比べて行きかう人達の動きも、せわしさがなくてゆったり、心地いい。

【M】そうそう、それに行き交う人の歩みだけじゃなく、装いもカジュアルで軽快よね。

【A】最近は平日でもビジネスマンたちの装いもカジュアル化してきているけど、休日はもっとリラックスして見える気がするわね!

【M】そうね! 実はその理由、足元にありそうじゃない?

【K】【A】スニーカー!

【M】その通り。平日はスーツに革靴スタイルが多いビジネスマンたちも、スニーカーを履くことによって革靴よりも動きやすくなるから、自然と動きも軽くなるのよね。

【K】年を重ねた中年男性が重そうにどっしりと歩いていると、それだけで「あ~、ストレスフルでお疲れなのね。」って思っちゃう。身軽に快活に動いている方が魅力的。そんな男性がいたら、即注目しちゃう。

【A】そうそう、それと休日に大人の男性がスニーカーを小粋に履いていると、大人の顔に時折男の子に戻った顔も見え隠れして、それがギャップに感じられてドキッとしちゃうのよね。平日、緊張感の中でキリッと仕事をしている姿との違いに、女性は母性くすぐられちゃうな。

【M】わかるわかる。でも、ここで注目したいのが、スニーカーにどのスポーツブランドをチョイスするか? ということよね。ブランドによって多様なデザインがあるからね。

【K】ねえ、見て! あの男性。シンプルな休日カジュアルに、あの特徴的なバッグはボッテガのメッシュバッグかな? それにスニーカーもとっても馴染んでいて素敵! でも……あのスニーカーはどこのブランドのものかしら?

【A】誰もが知っている人気ブランドではなさそうね。

【M】どこのブランドの商品かわからないけれども、色、形、素材は確実に上質なものに見えるわね。でも大きなブランドロゴは見当たらなく、流行にも左右されていない……。それと、彼の軽快な歩みをみると、履き心地の良さもうかがえる。これ! これこそがエグゼクティブに相応しいスニーカーなのよ。

「洗練された大人のスニーカーとは」

Pantofola d'Oro(パントフォラ・ドーロ)/ホワイトレザー スニーカー 4万円(税別)「シンプルデザインによる上品な佇まいが魅力の一足です。アッパー素材にはしっとりとしたカーフレザーを使用し、ライニングのレザーとの相性で包み込まれるような足入れ感とクッション性の高さで、履き心地も抜群です。やはり白のスニーカーはどんなスタイリングにも合い、爽やかさを演出してくれるので一足は揃えておきたいですよね。スリムやテーパードシルエットのパンツとも好相性です」(ビームス 安武さん)
「オールホワイトのデザインに、踵に光る『PdO』のロゴが全体を引き締めていますよね。この会社は1886年にイタリアで設立されたレジャーシューズブランドなんです。ある時、著名なサッカー選手が同社の靴をフィッティング中、履き心地の良さに感動し『これはフットボールブーツではなく、黄金のスリッパだ』と言ったそうです。それがきっかけで“ゴールデンスリッパ”をイタリア語にした『パントファラ・ドーロ』を正式名称とするようになったんです。踵のロゴを見て、どこのブランド商品か女性に聞かれたら、このマメ知識を披露してみたらいかがでしょうか。吉とでるか凶とでるか……ですね(笑)」(ビームス 安武さん)

【K】スニーカーを揃えるなら、まず白は押さえておきたいところよね。清潔感に溢れていて、どんなコーディネートにも合うもの。

【A】カジュアル要素の強いスニーカーで赤、青、黄色の原色を選ぶとより一層カジュアルさが増して、幼い印象になってしまう、これは絶対だめよね。

【M】シンプルな白だからこそ、真価が問われる。だからこそ、こだわりたいのは素材、デザイン、履き心地の良さよね。

【K】素材的には、洗練された大人たちにはレザースニーカーをお薦めしたいところよね。

【A】白のレザータイプならば、デニムやスウェットなどカジュアル感強めなアイテムと合わせても、ラフでもキレイにまとめられるわよね。それに、スポーツ感が強くなりすぎないから、休日のジャケパンスタイルに合わせてもいいし。

【K】でも、白のレザースニーカーは、お手入れという点ではキャンバス地よりも手間がかかるから、少しハードルが高いんじゃないかしら。

【A】そうよね、せっかく白のレザースニーカーでお洒落に決めていても、靴を見たら黒ずんで汚れていた……なんてがっかりしてしまう。マメに手入れする男性ならばいいけど、そうじゃない場合には、なかなか手が出しにくいかも。

【M】それが意外にもお手入れ簡単なのよ。レザーでも、今は便利なお手入れアイテムがあるから大丈夫。消しゴムのように汚れた部分を擦って汚れを落とす、革靴の汚れ落とし専用の消しゴムは、もう2人とも知っているわよね。それと、汚れをふき取るレザー用のスニーカークリーナーもあるし。レザーアイテムには定番のお手入れグッズだわ。それ以外に、なんと、レザー専用のシャンプーもあるのよ。「レザーの靴を水洗い?」と不安になる人も多いかもしれないけど、これもおススメなのよ。

【A】専用シャンプーとは驚き! ちょっとしたひと手間で白さが長続きしたり、汚れが簡単に落とせたりと、思ったほど難しくないのかもしれないわね。そうそう、最近クリーニングに出せるお店も増えたしね。真っ白なスニーカーは清潔感とマメさの象徴なのね。すれ違う男性の足元、要注目ね。

「選ぶならローテクスニーカー? それともハイテク?」

【K】スニーカーのイメージというと、ブランド独自の最新技術を搭載したハイテクスニーカーをイメージする人って多いと思うの。こだわりが強いデザインの印象が強いから、コーディネートのスパイスとして投入する一足ね。

【A】40代以上の人は、昔、流行したローテクスニーカーを思い起こす人も多いんじゃないかしら。レザーやキャンバス生地の素材を使っていて、靴底部分はゴムを使用した薄くてシンプルな作りだから、きれいめからカジュアルまで様々なコーデに合わせやすい印象よね。

【M】それではここで問題です。パッと見で目立つようなデザインは施されていないしロゴもない、とてもシンプル。それゆえ素材の良さとフォルムは引き立つ一足。ブランド名も分からずに「どこのですか?」と聞きたくなる衝動をおさえきれない、女心をもてあそぶ靴とは?

【K】【A】ローテクスニーカーね!

【M】コーディネートにさりげなくスニーカーを取り入れたい方はローテクスニーカー、スニーカーを主役にしたおしゃれを楽しみたい方はハイテクスニーカーということなんだけれど……派手な厚底のスタイルが多いハイテクスニーカーは、上質なアイテムを取り入れたシンプルコーデには足元ばかりが目立ちすぎてしまって、どうしても過度な印象になりがちなのよね。お洒落上手な人でないと着こなしとしてはイマイチな感じになりがちだから、注意が必要なの。だから、ローテクスニーカーが正解!

【A】流行を追いすぎるのも危険ってことよね。それは女性にも男性にもいえる。

【M】着こなしにおいて靴の存在って、とっても大きいの。「お洒落は足元から」とはよくいったものでコーディネートを語る上で頻繁に取り上げられる部分よね。私ね、その日の着こなしを靴から選ぶ事って多いの。コーディネートは意外と組みやすくなるからおススメよ。

【A】確かに、晴れの日ならどの靴を履いても問題ないけど、雨や悪天候の場合履くべきではない靴もあるから、まずは靴から決めるっていうのもありよね。それに、一般的には靴の数よりもトップスやパンツを多く持っている人が多いから、ローテーションを組むときに数の少ない靴から選べばワンパターンを防ぐことも可能よね。

【K】そういう意味でも白いスニーカーが万能なのがよくわかるわね、なんにでも合うからローテーションが組みやすい。それに、靴は体の最も下部の先端で実は、すごく目立つし印象を大きく左右するから、靴からコーディネートを決めることで全体の方向性を定める事が可能よね。だからこそ、流行りに左右されすぎて、派手な厚底スニーカーを選んでしまったら、足元ばかりが大きく目立ってしまって、バランスが悪くなってしまいがちね。

【A】真っ白のスニーカーではベーシックすぎて物足りないとういう人にはどんなデザインがおススメなのかしら。

【M】アクセントで色が入っているのがいいんじゃないかしら。例えば、ブルーやグリーン、マルチカラーのストライプなどはシンプルでスポーティ、洗練されたイメージを印象づけられる気がするわね。スニーカーは若者の専売特許ではなく、大人の男性たちにも楽しんでほしいアイテム。素敵なスニーカーをサラッと履いて、女性の心を鷲掴みにしてほしいものよね。

【今回ご協力いただいた方】

ビームス プレス 安武俊宏氏
豊富な知識と抜群のセンスに、撮影スタッフ一同魅了されました。

【男の身だしなみ向上委員会 by re*colabo】

<委員会設立の趣旨>
今の時代、仕事をする上でどれだけ女性の心を掴むかというのは大きなアドバンテージ。そこで、男性の身だしなみを女性たちは実際にどうみているのかを、女性ファッションライターの目線から本音で語ります。身に付けるものは、本人のイメージを左右する重要なファクターであり、気付いていなかったことを改善することにより、改めて身だしなみを整える一歩になれば嬉しく思います。

re*colabo
女性誌出身のクリエイティブ&ライターチーム。これまでに光文社「STORY」、講談社「フォルツァスタイル」など数々の媒体や、書籍で執筆。また、航空会社のオリジナル商品を手掛けるなど、女性ならではの視点で多くのヒット商品を生み出している。その他、女性の心を鋭く分析するマーケティング調査が人気であり、大手化粧品会社ほか、さまざまな企業から依頼を受けている。

マリ(中央)
re*colabo代表。ファション系出身ライター。「大人だからできる」シックなコンサバを推奨。内面を映すスタイリングに定評あり。

クミ(右)
元バンカーの生真面目ライター。ファション、グルメ、トラベルなど多岐に渡り執筆。シンプルで「カッコいい」装いが得意。re*colaboで一番マナーやルールに拘りあり。

アキ(左)
人物取材が得意。10代半ばから20代後半まで、フランスとアメリカへ留学。結婚を機に夫の転勤に伴いアメリカにて駐在妻を経験。帰国後ライターに。

photo:Ayako Nakamura
text:re*colabo