店の新規開拓は自分の足で

平日は都内で単身生活をしています。夜は会食や会合が多いのですが、予定がない日にはメンタルヘルスケアを兼ねて、一人で趣味の食べ歩きに繰り出します。

店の新規開拓は、基本的に自分の足で探します。健康維持のために通勤時には電車を利用して最寄り駅から一駅前か後の駅で乗り降りして歩いているので、歩きながらよさそうな店を見つけたら、入り口から覗いてみるのです。直感で合わないと感じたら、「間違えました」と断ってほかの店へ。そうやって探し出した店のなかには、お取引先との会食にも利用させていただいている店もあります。

その一つが「四谷 ふく」です。料理人でソムリエのご主人と利き酒師の女将が切り盛りする割烹で、10年ほど前のちょうどオープンした頃に雑誌の記事で知り、一人でふらっと飛び込んで以来、お付き合いが続いています。

お取引先の方をお連れしたり、社員と利用したりする際には、旬を味わえる月替わりの限定コースと、その一皿一皿に合う季節の日本酒を女将にセレクトしてもらいます。女将が私の酒量を把握してくれているので、半合を提案してくれたり、適度にストップをかけてくれたりするのも助かっています。

一人のときには、アラカルトをいただきながら、仲睦まじいご夫妻との会話を楽しみます。訪れた日本各地のワイナリーや、山梨県勝沼市でのワイン造りの話をお聞きするうちに、私も日本ワインに興味を覚え、先日ワインセラーを購入しました。休暇がとれたら妻と国内のワイナリーめぐりをして、少しずつコレクションを増やしていけたらと思っています。

私が一人で行きたい店とは

一方で、一人で行きたい店もあります。仕事を早く終えられた日、開店直後の空いている時間帯を狙って顔を出すのが「旬菜 みつや」です。ご主人はノルウェーとチェコの日本大使館付料理人を務めた経歴の持ち主で、現地では孤軍奮闘しながら食材を仕入れ、和食の腕をふるっていたそうです。

カウンター席に座り、旬の魚と野菜の煮物に、日本ワインのロゼをいただきます。私は瀬戸内海の魚を食べて育ったので、魚料理には目がないのです。

焼き魚や煮魚の完食具合をご主人に採点してもらったり、給仕のご婦人たちと談笑したり。そんなたわいないやりとりで、仕事で張り詰めていた心が癒やされていくのがわかります。ここで勢いをつけて、一人二次会に向かう、そんなこともありますね。

西井良樹/Yoshiki Nishii
第一三共ヘルスケア 代表取締役社長
1955年、大阪府生まれ。岡山大学農学部卒業後、78年に三共(現・第一三共)入社。医療用医薬品の営業職を経て、新会社・第一三共ヘルスケア設立にあたり、2006年に製品戦略本部長に就任。07年に同社執行役員、10年取締役執行役員営業本部長を経て、12年より現職。

四谷 ふく
繊細な日本料理に目利き厳選の酒やワインを

コースは「軽めのコース」5130円から「月替わりの限定コース」1万300円まで。鱧やふぐなど季節の食材を使った期間限定のコースもある。(表記価格すべて税別)
住所:東京都新宿区四谷4‐28‐8 パルトビルB1
電話:03‐3356‐1948
営業時間:17時~24時(23時LO)、土曜17時~23時(22時LO)日曜と祝日の月曜休
席数:23席(カウンター席、テーブル席。5~8名用の個室はコース予約時のみ利用可)カード利用可 禁煙
公式サイト

旬菜 みつや
店主の技が光る魚料理に日本のロゼワインが好相性

それぞれに口当たりや食感などを考慮した店主の技が感じられる。夜の営業時に提供する魚の多くが、佐賀県の唐津と徳島で水揚げされたものをその日のうちに直送してもらっているため、鮮度も抜群。他店であまり扱っていない日本酒や焼酎を提供。店主のお薦めは旬の食材を用いた和食との相性がいいロゼワイン。平日ランチは定食で980円~。(表記価格すべて税別)
住所:東京都新宿区新宿2‐3‐16
電話:03‐6323‐7135
営業時間:平日11時30分~14時、18時~22時、土曜18時~21時 日祝休
席数:16席(カウンター席、テーブル席、小上がり席)カード利用不可 禁煙
公式サイト

text:Minako Hoshikawa
photograph:Tomohisa Ichiki
from:PRESIDENT 2018.7.16