「五大陸」が掲げる2017 年秋冬シーズンのテーマは「NEXT GENERATION - A GENT RING -」。イメージは昭和30~40年代の日本男子である。スーツをはじめとするスタイルコレクションとともに、当時のお洒落な男たちに絶大な支持を得ていた男性用化粧品「MG5」に着目し、異色のコラボレートが実現した。
「MG5」は1963年に初登場。「Masculine Gender」「Modern Gentlemen」のイニシャルに由来する「MG」と、「ベタベタしない」「テカテカしない」「ソフトに仕上がる」「栄養を与える」「簡単に洗い流せる」の5つの特長を意味する「5」を組み合わせている。1967年に資生堂の男性向けの化粧品を統合し、日本初の本格的な男性用化粧品ブランドとなった。
五大陸は1992年に誕生。「五」には「英国の伝統」「フランスの華やぎ」「イタリアの粋」「アメリカの合理性」、そして「日本の繊細」を融合してジャパニーズ・ジェントルマン・スタンダードを提案する。歌舞伎俳優の片岡愛之助、尾上松也、中村歌昇、中村壱太郎、中村隼人ら5人を起用した「五」にこだわった広告キャンペーンも展開している。
今回のコラボレートは「MG5」の「5」と「五大陸」の「五」、それぞれ50周年と25周年という5にまつわる周年記念として注目されている。だが、発案側である五大陸は、MG5が1960~70年台の男たちに“モダン”という感性を根づかせたことに着目しているのだ。当時の男性トップモデル・団時朗のテレビCMを覚えている人もいるだろう。愛犬である白黒ブチ柄のグレートデーンと過ごす日常は、スタイリッシュでありながら、ときにコミカルでもある。そんな昭和の男こそ五大陸が目指す「レトロ・ジャパニーズ・モダン 」な紳士の姿だ。
「MG5」のアイコニックなデザインといえば、ブラックとシルバーのダイヤカットだ。このパターンは資生堂のインハウスデザイナー・杉浦俊作氏が手がけたもので、いまなお日本のモダンデザインとして高く評価されている。欧米のギンガムチェック、日本の市松模様にも似たこの柄は、今回のコラボレートではネクタイやタイバーに採用されている。ボトルにこの柄を用いたオリジナルフレグランス「資生堂MG5 オード トワレ」もリリースされる。
50代より上の世代にはいまも愛用者が多いMG5。40代後半世代も憧れたことのあるブランドだが、今回スタイリッシュなパッケージとフレッシュな香りを新たに開発したことで、あらためて若い世代の紳士たちにも届けたいと五大陸は考えている。ビジネスシーンでさりげなくフレグランスを使って、先輩世代とのコミュニケーションを楽しむのはいかがだろうか。
text:Yasuyuki Ikeda(zeroyon)