「とにかくハイレベルな機能性素材がたくさんあって、それを生かさないのはもったいない」。釣り具ブランドの雄・ダイワの商品群を知るにつけ、佐藤可士和さんはその思いを強くしていったと話す。

そもそもダイワと佐藤さんの縁は、2009年にダイワ精工からグローブライドへと社名変更する際のリブランディングに参画したことから始まった。その後、釣具やフィッシングウェアなどの高機能な素材を多くの人に、より身近に親しんでもらおうと、アパレルブランド「D-VEC」を立ち上げる際にも、スタート時から関わってきた。

佐藤さんを驚かせたのは、一流の釣り師のお眼鏡にもかなうプロスペックの商品の数々。そうした釣り用途の素材や技術を高感度なカジュアルデザインに落とし込んだのが「D-VEC」の特徴だ。とはいえ「近年はカジュアル衣料、ファストファッションが流行っているが、そうした衣服とは一線を画すものを提案していきたいのです」と佐藤さんは言う。

例えば、防水・撥水機能ひとつ取っても元は磯の荒波にも耐え得る服を作っているだけあって、撥水のレベルが違う。実際にコップの水を服にかけてもらったのだが、布がこんなに水を弾くのかと笑ってしまうほど。水が服に跳ね返されるのだ。また、ジャケットを試着させてもらったが肩と腕が感動するレベルで動かしやすい。これは釣り人が竿を振るときに動きを制限しないための縫製技術が役に立っているという。他にも強力な滑り止め性能をもつ靴底や、カーボン製の竿と同じ素材で作った折り畳み傘など、街場で身につけるにはオーバースペックと思うほどの高機能に目を奪われた。

佐藤さんはそうした機能性の狙いについて次のように話す。
「人はやっぱり楽をしたいわけですから、楽な服装は人気があります。しかし、カジュアル=楽ではないはずです。機能性とは本来、不便を解消するためにある。ですから高機能=楽でもあるはず。しかもその機能にプロも納得するだけのバックストーリーがある。それがD-VECの強みだと思っています」

カジュアル衣料ゆえに、いつものビジネススタイルに加えるのは難しいかもしれないが、例えばジャケットや折り畳み傘などを出張に出かける際のワンアイテムとして選んでみるのもおもしろい。話しのタネにもってこいのアイテムとなるはずだ。

text : PRESIDENT STYLE
photograph : Yasufumi Manda