経営者は常に元気でいるべき

社長であれ社員であれ、ビジネスマンとして大事なことは、効率よく働くこと。自分のスケジュールを管理し、無駄なく働くことができれば、休日をしっかりとることも可能です。休むときにきちんとリフレッシュに徹することで、日々の業務への集中力が増すのです。私の場合は朝8時に出社し、昼食も社内で済ませ午後も集中して働きます。その代わり夕方4時には社を離れるよう心掛けているのです。社長が自ら早めに帰れば、社員も気兼ねなく退社できるでしょうから。

仕事を効率的に圧縮し、オフの時間に楽しんでいるのがサイクリングやランニング。経営者の務めとして、常に健康を維持し、末永く働けるようにすることはひとつの義務だと思っています。元気であればスピーディかつ適確な判断を下せます。また、それにより一層効率的な体制をつくりだせると考えています。

体を動かすことに加え若々しくあるべきだと考えています。適切な新陳代謝を繰り返すことは体形を維持することと同時にアンチエイジングにも繋がります。見た目だけでなく、内面も健康で若々しい体だからこそ、服装も見映えがするのだと思っています。

この日のスーツはNAOKI‐Rでオーダーしたもの。タイトなシルエットがシャープな印象をつくる

個性のある服装で周囲に刺激を

今日のスーツはオーダーメードにて仕立てたもの。これまでも細身のイタリア製スーツなどを着用してきましたが、最近知り合った日本人デザイナーと意気投合し、オーダーするようになりました。NAOKI‐Rのデザイナーである横川直樹さんは、もともとグラフィックなどの絵を得意とするアーティスト。このスーツは非常にシックですが、若々しくモダンなスタイルであるのがポイントです。また、細身のスーツの特性を活かすため、ネクタイもシャープなナロウタイを、そして足元もノーズの長い革靴を選んでいます。

我々はゲームソフトメーカーですから、人を楽しませることが主な使命。壇上に上がってスピーチをするようなシーンでも、どこかに個性のあるルックスが必要と考えています。半袖シャツやハーフパンツなど、ラフな服装が目立つ我々の業界ですが、オケージョンごとのメリハリはとても大事。社員に直接指導はしませんが、社長自ら気を使った服装を常に心掛けることで、何かしら伝わる部分はあると信じています。

愛用の逸品~鞄にもモダンなセンスがにじむ

ファッションや身嗜みにこだわりを持つ辻本社長のスーツケースは、英国製のグローブ・トロッター。長年の使い込みにより味わいも十分。余計な装飾を排したスクエアな内部は、思った以上に荷物の収納ができるという。そのほか、国内移動用にはローリングストーンズとヒステリックグラマーのトリプルコラボによる小型のグローブ・トロッターを愛用。

辻本春弘/Haruhiro Tsujimoto
カプコン 代表取締役社長
1964年、大阪府生まれ。大阪商業大学商経学部卒業。87年カプコンに入社し、アミューズメント施設運営事業の立ち上げに貢献。97年に取締役に就任し、家庭用ゲームソフト事業の強化に注力。2007年、創業者である父・辻本憲三から社長職を引き継ぎ現職に。

text:Tsuyoshi Hasegawa(Zeroyon)
photograph:Sadato Ishizuka
hair & make:RINO