本当の満足を教えてくれる、この上ないバッグ～エルメス【黒の名品013】

人の欲望は止まることを知らない。希求していたものを手に入れ満足しても、時が経ったり、環境が変わったりすると、さらに良いものを渇望するようになる。身に着けるものでステータスを明示するなら尚更である。鞄もまた然り。世にはメンズ用のバッグが無数にあり、最高級と称されるものも数多くあるが、エルメスのブリーフケースはひとつの“上がり”といっても過言ではないだろう。

フランスの小学生が使用する鞄からインスピレーションを得たという、エレガントでシンプルなデザイン。内部にパッチポケットが1つあるだけの、必要最小限の隠された機能性。エルメスのブリーフケース「サック・ア・デペッシュ」は1928年に発表されて以降、エルメスのメンズを代表するアイコニックなバッグとして揺るぎない地位を確保している。かのジョン・F・ケネディ、ウィンザー公、アンドレ・マルローといった偉人たちに愛用されてきたことからも、当時からどれだけ品質が優れていたかが窺い知れる。使われているレザーはヴォー・トーゴ（カーフレザー）。非常に手触りの良い仔牛の革を、左右均等にパーツを切り出して製作することで、素材の特性が均一に現れ、使い込むと美しく経年変化していく。細かな型押しが施されているので、傷が付きにくく、柔軟性にも優れている。

ビジネスバッグの到達点。そのクオリティは、凡百のバッグとは一線を画す。まさに生き馬の目を抜くビジネス界で活躍するエグゼクティブが持つにふさわしい逸品と言えよう。