デザイン性、クラフツマンシップ、快適性の全てがそろう
オンタイムの装いはTPOをわきまえるべき、というフレーズはつとに叫ばれてきたビジネススタイルのセオリーである。靴選びももちろん例外ではない。年齢を重ね、役職が上がるにつれてビジネス中心の靴選びになり、気がつけばシューズクロークが似たような革靴で占められていた、というビジネスパーソンも少なくないだろう。自身の趣味嗜好が反映された靴、あるいは装いをブラッシュアップしてくれるようなデザイン性豊かなシューズはどれほどあるだろうか。
そこで勧めたいのが、褒美としての靴選びである。何しろ褒美であるから“ビジネス中心”から離れて、誰の目もはばかることなくわがままに選べばいい。今回、その選択肢として推奨したいのがジ・オニツカのレザーシューズである。
今回取り上げたのは、ウイングチップやパーフォレーション(穴飾り)などの装飾が施された「ブローグ」と、甲部分に金属の飾りがついた「ビット ローファー」の2型。これらを推奨する理由は大きく3つある。


まず挙げたいのは、ひと目で分かるデザイン性の高さである。いずれも程よくボリュームのあるシルエットを採用し、アッパーには大胆なツイード生地を使用している。レザーにツイードを合わせたシューズは珍しくないが、ここまで華やかな織り柄をまとったモデルはまれだ。靴単体ではやや華美に映るかもしれないが、実際に履いてみるとその華やかさも足元のみのため、意外と合わせやすい。オフの装いをモダンにあか抜けさせてくれるほか、イベントやレセプションが多いこれからのシーズンはオンタイムでも重宝する機会がありそうだ。
そして、そのデザインに日本のクラフツマンシップが息づいていることが2つ目の理由である。アッパー部分のツイードは、岩手県で織られた生地を使用。太糸と細糸、天然繊維と人口繊維を意図的に用い、それらが織り成す立体的なテクスチャーが上質感を添えている。単にファッションのための飾りではなく、職人の手仕事が育んだテクスチャーという点がものづくり好きの心をくすぐる。
そして最後の理由が、何といっても履き心地の良さである。ジ・オニツカは、スニーカーを中心にファッションまで展開するオニツカタイガーをルーツに持つ。そのため革靴においても履き心地の追求には余念がない、というよりも、それがマストの靴作りを行っている。これら2つのシューズも、クッション性とサポート性を両立した取り外し可能な成型中敷を採用し、ソールのかかと部分には耐衝撃性に優れたαGEL Foamを搭載するなど、十分な快適性が確保されている。購入したものの足に合わず履かなくなってしまう、という心配も少ない。

オフの靴選びは、大人になるほど難しくなるもの。今回取り上げたジ・オニツカの2足は、デザイン性、ものづくり、そして履き心地の面で特筆すべき魅力があり、さらに“褒美”としての華やかさも申し分ない。今年の自分を鮮やかに刻む一足になるはずだ。

photograph:Kazuteru Takahashi
edit & text:d・e・w
