こんにちは。イメージングディレクターの高橋みどりです。
ジャケットのVゾーンは常に周囲の視線が集まるところ。ここに無関心だったり手を抜くのは、女性がノーメイクで人前に出るのと同じことです。
色の使い方や素材の合わせ方など、あまり固く考えず、自由に遊びながら自分らしさを表現していただきたいと思います。組み合わせ次第で、顔の表情を若々しく見せたり、華やかに見せたりすることは、意外に簡単なことがおわかりいただけるはず。
今回はスーツの数は抑え、ジャケット&パンツの場合のVゾーンを複数ご紹介しています。これはここ数年、“ジャケパン”で出勤できるオフィスが増え、「単品ジャケットの着こなしがわからない」という声をよく耳にするからです。
鮮やかな色のニットやスカーフ等の巻物使いなど、普段は手に取らないような色・柄やアイテムに戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここではあえて“女性目線のおしゃれ”をご提案させていただいています。
実際、この連載を見た私の女友達からは、「男性のファッションにも、あのくらいの華やかさがあっていいよね」、「私のパートナーにも勧めたい!」という感想をいただいています。昨今のビジネス事情として、オフィスの半数近くは女性なのですから、“女性目線”を考慮するのも好感度アップに有効な手段とお考えいただければと思います。
正直、女性の視線は厳しいです! 面と向かっては何も言わなくても、女同士の席で、「○さんはセンスいいわよね」「△部長の今日のネクタイ、ちょっと……(笑)」なんて会話が交わされるのは、日常茶飯事。くれぐれも油断なきよう、ご忠告申しあげます。
雰囲気を刷新するならベリー系カラーがいい
出張の移動や休日にも活用できるジャケットスタイル。ここ数年、ブルーベリーやラズベリーなどの果実に見られる、赤紫を中心とした“ベリー系カラー”がトレンドです。トーン オン トーンでVゾーンの色をそろえると、ひとつのアイテムだけが目立ちすぎず、かえってシックに着こなせます。小紋柄のシャツを合わせましたが、シャツを色無地にしてストールを足しても素敵。パンツはグレーやブラウンにすると、きれいにまとまります。
控えめな色味でカジュアル感をつくるには?
ウール混のシャツにニットタイ、ストールを添えて。温かみのあるVゾーンに仕上げました。グレー×ブルーというビジネスシーンの定番カラーに、カーキ×ベージュのリバーシブルストールでカジュアル感を出しています。ノータイスタイルで、よりカジュアルに着こなしてもOK。
柄と柄を組み合わせるなら、色目をそろえて
チェック柄のスーツに、異なる小紋柄がダブルフェイスになったストール、小紋柄のネクタイ、そしてペイズリー柄のポケットチーフと、あえてプリント同士を合わせたコーディネートです。難易度が高そうに思われるかもしれませんが、色目をそろえることで美しく調和します。遊び心を感じさせつつ、ひとつひとつのアイテムがベーシックなため、ビジネススタイルとしての“格”はしっかりと保っていることもポイント。
紺ジャケ+クレリックシャツで知的な印象をアップ
手持ちの紺ジャケを一気に新鮮に見せるには、クレリックシャツが効果的! クレリックシャツの特徴でもある白襟は、通常の白シャツ以上に顔まわりを明るく見せてくれます。身頃は無地タイプのものではなく、思い切ってブルー系のストライプを選び、シャープなVゾーンを演出しましょう。茶系のソリッドタイなら知的に、レジメンタルならより精悍な印象に。
styling:Midori Takahashi
assistant:Eri Koide
text:Maki Kasai
photograph:kuma*