威圧感を与えない工夫
私は背丈が188cmあり、スーツは昔からオーダーメードか、セミオーダーです。スーツとネクタイは紺系、ワイシャツは青が多い。行動的な印象があって好みの色です。ただ、大事なお客様に会うときはシャツを白に替えます。ホテル業に就く者として清潔感、誠実感は必須です。
以前、休日はジーンズ、スニーカーが大半でしたが、今は社長という立場もあり友人と出かけるときもジャケット姿です。高級ホテルや伝統のあるゴルフ場では正装で、TPOをわきまえ、楽しんでいます。
スーツ姿ではネクタイピンやカフスは着けません。体が大きく、ただでさえ威圧感を与えてしまう可能性があるので、少し控えめな恰好を心がけています。十数年前、お客様に謝罪に伺うと、「脅かしに来たのか」と言われ、「いえ、謝りに来ただけです」と弁解した笑い話もあります。
私にとって入社式が最も大事な場面で、新入社員を迎えるときも威圧的にならないように服装だけでなく、話し方にも気を付けています。
和をもってメジャーへ進出
私自身のホテルへの配属は遅くて33歳でした。社会人野球プリンスホテルの選手、マネジャー、コーチを経て、ホテルの現場に配属となり、最初は戸惑うことばかりでした。30歳を超えた新人には誰もが教えにくい。わからないことがあると周りにとことん聞いて回りました。そのときメモを取る癖もつきました。
仕事のうえで助かったのは、野球時代のコーチ経験です。相手チームに勝つためにはビデオ撮影をして研究したり、スコアブックを付けてそこから戦力分析したりと、データを基に戦略を立てます。ビジネスも同じで、他社のホテルに泊まり、フロントサービスやレストランの料理を分析し、社内で情報共有し相手に勝つ戦略を立てます。
昨年、社長に就任し、日本のプリンスホテルを世界ブランドへ育てる仕事を託されました。まずは満を持して英国の高級ホテル「ジ・アーチ・ロンドン」の事業取得をし、当社の海外ラグジュアリーブランド「ザ・プリンス アカトキ」の第1号として19年夏以降にリブランドオープンさせます。今は野球の国内リーグからメジャーリーグに渡った新人のような気持ちです。海外にありながら日本らしさの感じられるホテルにしたいと知恵を絞っています。
愛用の逸品~用途に応じて使い分ける万年筆
小山正彦/Masahiko Koyama
プリンスホテル代表取締役社長
1979年立命館大学卒業後、プリンスホテル入社。社会人野球の選手、コーチを経て、ホテル事業に配属。ホテルの支配人を歴任し、2018年6月代表取締役社長執行役員兼セールス&マーケティング本部長に就任。
text:Top Communication
photograph:Sadato Ishizuka
make & hair:RINO