以上の観点から本メディアでは、出張を快適にこなすためには“3バッグ体制”こそが合理的とする立場をとってきた。大量運搬に適した「トロリー」。個別収納や携帯性に優れた「ブリーフケース」。それにオフタイムをスマートにフォローする「多目的バッグ」。この3点を揃えて活用することで、出張のあらゆるシーンでも無駄なく円滑に進めることができるのだ。さらに理想とするのが、その3点の鞄がチグハグでなく、社会人としての統一感を備えたセットであること。そこで機能性バッグの実力派ブランドから、昨今の出張事情に適した3点を選び出して提案する。
注目すべき第1回目は、ジャパンメイドらしい細やかな作り込みで評価も高い、「エース」のバッグに白羽の矢を立てた。
利便性とコストを両立させた注目ブランド
何をするにしても素早くコスト計算ができる人と、そうでない人がいる。常に適正コストを追求する人は、往々にして財布のヒモが堅いもの。余計な幻想を抱かず現実をシビアに捉える理性派であることが多い。そういう堅実なビジネスパーソンが選ぶべきは、日本の真面目なブランドによる正統派バッグが正解。まさに「エース」はそういった人が選ぶべき“実直”な逸品ばかりを揃えたブランドだ。
1940年創業の鞄商から発展した「エース」は、1953年、日本で初めて「東レナイロン」を素材に、カラフルな軽量バッグを開発した歴史と先見の明を持つ老舗。その後も日本人の繊細な感覚を生かした鞄の開発を続け、2004年には革新的な国産スーツケースブランド「プロテカ」を発表することで改めて脚光を浴びている。
なかでも「エース」のポイントは適正価格でありながら、トップクラスの機能性やモダンなルックスをきちんと打ち出しているところ。耐久性や利便性をも網羅しながら、どれも価格を越えたスペックであるのは実に見事だ。
最新機能を完備しつつアンダー2万円
耐久性と軽量性に優れた世界的素材メーカー「コベストロ」のポリカーボネイトを使用した4輪タイプのハードシェルトロリー。丸みを抑えたスクエア型のフォルムは、隅々まで荷物が収められるため見た目以上の収納力を発揮する。最新の機能性トロリーらしく大型のフロントポケットを搭載しており、本体を寝かさず直立したままPCなどの取り出しも容易にできる設計。また底面にはケースの強度を確保しつつ、本体を持ち上げる際に指がかけられる窪みを設けるなど、同社らしい配慮もポイントのひとつ。TSAデュアルロックなど多彩な機能を持ちながら、プライスはなんとアンダー2万円。
機内持ち込み可能なサイズゆえ、保安検査場でPCを取り出す際はフロントポケットが便利。その内部の仕切りを開くことでメイン荷室までアクセスが可能。つまりワンボックスとしても使用できるコンバーチブルデザインだ。
高級感ある革製にして重量690g!
重厚感のあるレザーをふんだんに使用しながらも、690gという驚異の軽さを実現したブリーフケース。本体素材にはキメの細かく柔らかなタッチのラムレザー(羊革)を採用。特殊な裏加工を施すことで高級感を持ちながら軽量かつしっかりとした形状をキープする。本体外部の正面には二段のジップポケットを設けており非常に便利。その他、脱着式ショルダーストラップの付属も特徴。
本体外部のフロントポケットには種類別のホルダーが取り付けられている。ペンや携帯電話などを固定の位置に収納できるので、いつでも迷うことなく瞬時に取り出せる。
服装を選ばない機能重視のボディバッグ
タウンユースをはじめ、あらゆる服装にマッチしやすいプレーンなデザインのナイロン製ボディバッグ。メインの荷室にはフリーポケットを、本体前面にもアウトポケットを2つ設けており、取り出す頻度が高い小物類の収納も容易にこなせるデザイン。背中に当たる背面にはクッションメッシュ地を配し、汗をかくようなシーンでも快適に装着可能。また手袋をしたままでも開閉しやすいよう、ファスナーにはコードタイプの引き手を採用する。
小型サイズながら本体とは別に、2つの外部ポケットを設けているところが秀逸。携帯電話やペン、それに見失いやすいキー類などの小物を個別に収納できる。
styling:Mariko Kawada
edit & text:Zeroyon Lab.
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)