グレーにネイビーの格子柄が入ったスーツは、丸いフォルムでパッチポケットのジャケットに、持ち出しの長いクラシックタイプのパンツをセット。このいかにもナポリ流のフォルムはキートン傘下のサルトリオならでは。肩にパットを入れる英国式との違いをリアルに浮き上がらせる。
若くても体格の良い方、あるいは貫禄のついてきたミドルエイジに、サルトリオのスーツはよくフィットする。ウェストを絞ったドロップ9のスーツで細身に見えるが、水泳で鍛えた石田さんの胸板は厚い。聞けばジュニア時代は大会で表彰台に上るほどの実力で、リオ五輪出場選手に親しい先輩がいるのだそう。自身もかなりの記録の持ち主だ。広い肩幅と長い手足の体育会系ボディも、ナポリスーツなら優雅に包み込んでくれる。
ナポリ仕立てのスーツは見た目も着心地も軽く優雅。カチッと身を引き締める英国式の鎧スーツとは別物だ。だからこそ、タートルニットをあわせるようなスタイリングも叶う。黒のタートルニットでじつにシンプルな合わせ方だが、イタリアでタートルニットを「ドルチェヴィータ(甘い生活)」と呼ぶだけあって実にエレガントなムードを漂わせている。
こんなドルチェヴィータスタイルをオンに持ち込むなら、タートルニットはダークカラーのほうが締まって見える。反対にタートルニットを明るい色に変えれば、オフのスタイルにも。平日、この姿で出勤して、休日の食事に行くなら白のタートルニットを合わせれば、サルトリオのスーツがオンにもオフにも着回せることもおわかりいただけるだろうか。
text:Zeroyon Lab.
photograph:Yuko Sugimoto