1916年、イタリアのカルロ・マニャーニ男爵のインスピレーションにより誕生したのがアクア ディ パルマ。パリやロンドンなどを旅した経験から、時を超えて愛されるフレグランスを創ろうと決意したという。そして生まれたのが「コロニア」だ。当時、爽やかでモダンな印象の香りは、イタリア紳士のスタイルを象徴すると話題になり、1930年代には、同時代を代表するフレグランスとして名を馳せたのだった。
新作の「キノット」は、ブルー メディテラネオ コレクションの新たな香りである。ビタースィートで色気を感じさせるその香りは、明るさと冴えた青味をたたえた地中海を思わせるような、記憶に刻まれる印象深さがある。
品名にもなっているキノットとは、イタリア・リグーリア地方の切り立つ岩肌に自生する柑橘類の一種。トップノートは、その果実のほろ苦さと、マンダリンの弾けるような香り。ハートノートは、カルダモンとローズマリーのダイナミックな香気を感じつつ、ジャスミンやゼラニウムの香りも花を開き、鼻腔を心地よく刺激してくれる。
個人の印象づけにいつも同じ香りを身につけるのもいいが、季節やTPPO(Time・Place・People・Occasion)で使い分けるのも、紳士のひそやかな楽しみになるのではないだろうか。
editor's comment
汗ばむ季節には、紳士の身だしなみとして爽やかなフレグランスをまとうのは必須のエチケット。服装や汗の臭いなどで、マナーが乱れがちになるこの時季を香りの力で乗り越えるのも有効な手段といえる。
text:Sayuri Yukinaga