「バイキング」誕生のルーツは北欧の伝統料理

今から60年前の1958年(昭和33年)。日本初となるブフェ(※)レストランが帝国ホテルで誕生した。帝国ホテル新館建設に伴い、「何か新しいレストランはないか」と考案中だった当時の社長・犬丸徹三氏が、魚介や肉料理、酢漬けなど、数十種類の料理を1度に並べ、それを自由に取り分けて食べる北欧の伝統料理スモーガスボードに着目。そして、パリのホテルリッツで修業中だった村上信夫氏(第11代料理長)に、この料理の研究を命じたのが事の始まりだった。

※ブフェ……Buffet。バフェ、ビュッフェとも。

そして、料理を学び帰国した村上氏が中心となり、帝国ホテルは“好きなものを好きなだけ”というスモーガスボードのスタイルを踏襲した、日本初のブフェレストラン「インペリアルバイキング」を誕生させた。店名は当時のハリウッド映画『バイキング』で映し出された海賊たちの豪快な食事シーンから着想を得て、社内公募により帝国ホテルの英語名と併せた「インペリアルバイキング」と名付けられた。以来、日本では、「バイキング」という言葉そのものが“好きなものを好きなだけ”食べられるブフェレストランの代名詞となるまでに広まっていったのだった。

日本初のブフェレストラン、「インペリアルバイキング」の開店当時の店内。本場デンマークからもスタッフを招聘していた
開店当時のメニュー。「スモーガスボード」の文字が見える。
新館料理長の村上信夫氏(左)と本館料理長の一柳一雄氏(右、当時)

8月1日は「バイキングの日」


開店時の料金は、昼1200円、夜1500円。当時の帝国ホテルの宿泊費は約1800円だったそうだから、当時としてはかなり高額な料金設定にも関わらず、時代の最先端だったレストランは行列ができるほどの人気を誇り、瞬く間にバイキングの名は広まっていった。

その後も、料理の開発や改良も加えられていたが、2004年、今まで以上に美味しく楽しんでもらうため、オープンキッチンを設置、店名も新たに「インペリアルバイキング サール」としてリニューアルオープンした。そして、2008年の誕生50周年には、開店記念日である8月1日を「バイキングの日」として制定(日本記念日協会認定)。以来毎年、記念日前後には様々なイベントなどを実施している。

2018年は“バイキング60周年”

「バイキングの日」が制定されてからも、様々な試みは続けられ、2014年には、今まで以上のクオリティで快適に過ごしてもらうため、バイキングコンシェルジュというサービスを導入した。これは、バイキングの歴史や上手な料理の取り分け方など、豊富な専門知識を備えた、いわば“バイキングのエキスパート”だ。同店はハードとソフト両面でもさらなるパワーアップを果たし、今なお多くのゲストをもてなし続けている。

8月1日に60周年を迎えた帝国ホテルのバイキング。伝統を守りながら、新たな試みでゲストを迎える「インペリアルダイニング サール」は、200席を誇る開放的な空間。余裕をもった配置のテーブル間隔でストレスなくバイキングが楽しめる。充実の料理は約40種類用意され、伝統のポテトサラダやローストビーフ(ディナーのみ)のほか、季節の料理やフェア限定料理が味わえる。ホテルならではの細やかな配慮とサービス、そして、レストランが誇る多彩な美味。その60年という歴史を味わいに訪れてみてはいかがだろう。

帝国ホテル伝統のローストビーフ(ディナーにて提供)
帝国ホテル「インペリアルバイキング サール」
■朝食 7時~9時30分(L.O.)
大人4320円/子ども2600円
■ランチ 11時30分~14時30分(L.O.)
大人5500円/子ども3300円(※平日価格。土日祝日は6000円/3600円)
■ディナー 17時30分~21時30分(L.O.)
大人8200円/お子様5000円(※平日価格。土日祝は17時~、8700円/5300円)

※すべて税込、サービス料別
※子どもは4~12歳
※2018年10月1日よりランチタイムの料金は変更予定
問い合わせ情報

問い合わせ情報

帝国ホテル 東京「インペリアルバイキング サール」
住所:東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL:03-3539-8187(直通)

text: PRESIDENT STYLE
photograph: 帝国ホテル