華麗な姿と内装の豪華さで「洋上の宮殿」と称されたノルマンディー号は、1931年に起工、1932年進水・命名を経て、1935年に就航したフランスの客船だ。1930年代、ヨーロッパとアメリカを結ぶ北大西洋の航路は多数の豪華客船が就航していたが、なかでもこのノルマンディー号は、完成当時に世界最大、就航時は世界最速の客船であった。だが戦争の影響で、客船として航海されたのは4年だけで、その後解体されてしまう。この短い生涯から、“伝説の豪華客船”として知られている。
そのメインダイニングで実際に提供されていた料理が再現される。ホテルニューグランドのタワー5階にあるパノラミックレストラン「ル・ノルマンディ」では、当時のメニューからオードブル、魚料理、肉料理の3品を、10月1~15日の期間限定コースメニューとして提供することとなった。
今回の復刻メニュー3品(オードブル、魚料理、肉料理)は、実際に残されていたノルマンディー号のメニューを読み解き、料理長・花木洋一郎氏が再現・アレンジしたもの。
オードブルは、当時、長い船旅でも保存できる食材を使用し、またいくつもの小さなオードブルを客自身が選び取り分けがされていたことから、オードブルの盛り合わせスタイルに。魚料理は、船上という限られた空間で、食材を工夫しながら味に深みを出すため、魚のあらなどを使用して調理していたブイヤベースを再現した。肉料理は、赤ワインとエシャロットとバターを使ったクラシックなソースで。正にノルマンディー号がフランスの客船であることの証のような、フランス料理に使われている伝統的なものだ。
以上3品を含む復刻コースメニューは、以下の通り。
・オードヴル フランス風
・コンソメスープ 小さいパスタを浮かべて
・ブイヤベース マルセイユ風
・牛ロース肉のグリル マルシャン・ド・ヴァンソース ジャガイモフリット添え
・季節のサラダ
・デザート盛り合わせ
・コーヒーと小菓子
もともと、ホテルニューグランドの「ル・ノルマンディ」は“大西洋の華”と呼ばれたノルマンディー号のダイニングルームをコンセプトにレイアウトされたダイニングである。1930年代インテリアの演出、そして窓の外に広がる眺望は、まるで船上のレストランにいるようだ。
期間中は、横浜みなと博物館より提供された、ノルマンディー号船内のようすがわかる資料もパネル展示される。在りし日の優雅な船旅を疑似体験できる貴重な15日間。旅好きで美食家の忙しいエグゼクティブにおすすめしたい。
editor's comment
1930年代の伝説の豪華客船ノルマンディー号で実際に提供されていたという料理と、船上レストランをイメージした店内の融合は、まるで船旅そのもの。古き良き時代に思いを馳せるような船旅を、美味しい食事と共に是非楽しんでもらいたい。
text:Miki.T