建築家・黒川紀章氏が設計し、世界で初めて実用化されたカプセル型のマンション、中銀カプセルタワービル。1972年竣工のこの建物はメタボリズム建築の代表作と言われ、日本はもちろん、海外からの人気も高い。

2015年9月までは、民泊(airbnb)として使用されるカプセルが複数あったため、当時のairbnbが発表する人気宿泊先TOP40にアジアで唯一ランキングされるなど、外国人観光客にも認知度が高かった。特に建築、デザイン、アート関係者が多く宿泊し、管理組合で民泊が禁止された以降も、宿泊を希望している人が後を絶たない。

しかしこのたび、「マンスリーカプセル」というプランが開始された。民泊ではなく、賃貸借契約を結ぶことで一か月から借りることができるようになったのだ。中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトが考える「カプセルでの狭くても快適さを追求する取り組み」と、無印良品の提唱する「Compact Life」の考えが合致し、居室のインテリアコーディネートは無印良品が担当している。

メタボリズムの設計思想を明確にしたデザイン性は世界的に高く評価されている

マンスリーカプセルの概要は、賃料が12万円(敷金・礼金なし/電気、水道料金込み)で、備品としてデスク、椅子、シングルベッド、エアコンなどがついている。

「世界初のカプセル型住宅に泊まりたい」「カプセルで暮らしたいけどまずは短期間試したい」「無印良品のインテリアを体験したい」など、利用目的は様々かもしれないが、カプセル空間を体験できる希少な機会。46年を経過した近代建築のレジェンドを肌で体感できる時間は、何物にも代え難い時間になりそうだ。

editor's comment
汐留にある中銀カプセルタワービルの印象的な丸窓は「禅」を意識したものだそう。茶室や禅寺のイメージを感じることができる。歴史的建築物に住むということは、それらを肌で感じる大変貴重な体験になるのではないだろうか。

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中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト


text:Rina Araki