ランボルギーニ・ウルスはブランドに忠実なスーパーSUVだ

興味ぶかいのは、SUVがトレンドといっても、そこにランボルギーニのブランド性を加味することで商品性をもたせている点だ。ひとことで言うと、「LAMBORGHINI URUS（ランボルギーニ・ウルス）」はスポーツカーのようなSUVである。

4リッターV型8気筒を搭載し、フルタイム4WDシステムが組み合わされている。ドライブモードセレクターには「TERRA」（オフロード）や「NEVE」（雪上）があるいっぽう、「SPORT」（スポーツ）や「CORSA」（レース）を選ぶことも出来る。

かつスタイルがじつに個性的だ。過剰なほどのキャラクターラインと、六角形のモチーフをこれでもかと各所に使った細部の処理。外観はそういう点に感心するので、見飽きない。

アウトモビリ・ランボルギーニのステファノ・ドメニカーリCEOによると「若いひとたちに印象づけることが大事」だそうだ。ハリウッドのSF映画にぴったりハマりそうなスタイルは、他社のライバルとの差異化のために意図的にやっているのだ。

これが昨今のブランドの作り方で、最も上手にやっているのがランボルギーニといえる。たんに見た目だけでない。「さすがにすごい！」とマーケットをうならせること。もちろんウルスは観た目だけでない。

デビュー時のジャーナリスト向け試乗会にサーキットを使ったのも、さすがランボルギーニだったが、私がこのあいだ試乗したのは冬を目前にしたアイスランドでだった。

アイスランドを試乗場所に選んだ理由は「あらゆる路面状況が体験できるから」と私と同行したランボルギーニの広報担当者が説明してくれた。それもまた「スーパーSUV」と呼ばれるウルスにとって大事な性能ということだ。

アイスランドの試乗は、レイキャビクから海のほうに下がり、そこから反時計まわりにというルートである。そこでは「CORSA」いがいのモードを試すことが出来た。雪が積もる自動車専用道でも逆に、ノーマルモードやスポーツモードで走れてしまう。

全天候型タイヤのおかげもあるが、逆にそれだけで、不安なく速度をあげていけるのだ。着座位置はSUVだけあって高めだが、ダッシュボードの基本的なテーマはランボルギーニのスポーツカーに近い。それだけに気分がいっそう昂揚するのである。

乾いた道では、800Nmの最大トルクを持つV8がもたらす、静止から時速100キロまでわずか3.6秒というスーパースポーツカーなみの加速力が感じられる。アクセルペダルを軽く踏むだけで、前方の空間に向かって突進していくかんじだ。ロケットのようだ。

アイスランドは火山の国だからメインの舗装路から外れると、灰や溶岩で覆われた台地が広がる。溶岩はともかく、黒い灰でできたブラックサンドビーチのような滑りやすい路面が、見渡すかぎり広がっている。

ウルスはそんな道を難なくこなす。一般道でも砂利で敷き詰められた細いワインディングロードがあったりするが、そこもまったく問題ない。全天候タイヤ、電子制御の4WDシステム、さらに後輪操舵システムの恩恵は大きい。

岩場のように路面との大きめのクリアランスが必要なところだけは体験していないのだが、たいていの道はあっけないほど難なくこなしてしまう。吹雪にも見舞われたが、そこも問題ない。

室内はぜいたくな仕上げだ。細部にいたる仕上げのよさと、スイッチ類の感触のよさ、それに加えてレザーやクロームなど素材の質感の高さがみごとである。

オーナーはスムーズレザーでぜいたくな雰囲気を出すのもいいし、レーシングカーのようにスウェード調のアルカンターラ張りのシートを選択して走りを積極的に楽しむも、またいいだろう。日本での価格は2816万1790円（税込）。