在宅勤務で5人に1人が5時間増
昨年から続く新型コロナ禍の影響で、オン・オフ問わず家に籠もる時間が増えた人は多い。その増えた時間で何をしているかというと、PCに向かって仕事をしたりスマホを眺めたり、動画配信サービスを観たりと、多くの人がデジタル機器に触れているのではないだろうか。
実際に、一般用目薬で国内トップシェアのロート製薬が昨年5月に行った調査によると、日常的に在宅勤務をする人の6割以上がコロナ禍以前と比べてデジタル機器との接触時間が増えたそうだ。さらに毎日在宅勤務をしている人の22%が、1日あたりの接触時間がなんと5時間も増えたという。
「それに伴って最近急増しているのが、目の疲れやドライアイなどの悩みです」。そう話すのはロート製薬で広報を務める戸崎亘さん。初の直営店である渋谷の「ロートQualityAgingサロン」を訪ね、長時間のデジタル機器の使用が目に及ぼす影響やその対処法を聞いた。
ロートQualityAgingサロン
東京都渋谷区道玄坂1‐2‐3 東急プラザ渋谷4F
TEL:03‐5422‐3610
https://www.rohto.co.jp/qasalon/
「スマートフォンやパソコンなど近くの画面を見続けると、目のピントを調整する筋肉『毛様体筋』に大きく負担がかかり、これが俗に言う『疲れ目』の原因となります。また、デジタル画面から発せられるブルーライトは角膜(黒目)表面のダメージを誘発することがわかっています」
目がショボショボする、目の表面がひりつくなどのドライアイの症状にもデジタル機器が関係しているそうだ。ドライアイの一番の原因はまばたきの回数の減少。デジタル画面を長時間見続けていると、まばたきの回数が減少する傾向がある。
目薬は「疲れの蓄積前」にこまめにさす
デジタル機器によるダメージに対して、どんなアイケアが有効だろうか。「簡単にできるケアとして、やはり目薬の使用をおすすめします。ポイントは症状に合った成分が含まれる目薬を選ぶこと、正しいさし方をすることです」(戸崎さん)。
店で適当に目についた目薬を選んだりせずに、症状に対応した成分が含まれているかをきちんと確認しよう。疲れ目には「ネオスチグミンメチル硫酸塩」。この成分は毛様体筋の緊張をほぐす作用がある。ブルーライトによる角膜の炎症を鎮めてくれるのが「硫酸亜鉛水和物」。目の乾きに悩んでいるなら、角膜を保護してくれる「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」が含まれているかをチェックしたい。
その目薬のさし方にも注意が必要だ。仕事終わりに1、2滴をさしてパチパチとまばたき、では不十分。目薬にもよるが、おおむね「1回1、2滴を1日5~6回」を目安に点眼する。さした後は上を向いて、1分くらいじっと目を閉じる。その際、軽く目頭を押さえてもよいという。もちろん事前にはきちんと手を洗うこと。
冷やすのではなく、温める
アウトドアの強い紫外線による急激なダメージに対しては冷やして炎症を抑えることもあるが、一般的な目の疲れやドライアイには温めるのがいいという。温めると目まわりの血行がよくなる上、まぶたの縁に並ぶマイボーム腺から油が分泌されて目の表面を覆い、涙が蒸発するのを防いでくれる。
温めるには市販のホットアイマスクや、蒸しタオル(水で濡らして固く絞ったタオルをポリ袋などに入れ、500~600Wのレンジで30~60秒ほど加熱)で目を覆う方法がある。同サロンで店長を務める伊藤絵理さんが教えてくれたのは“ながら温め”。「蒸しタオルを用意するのが面倒な方は、お風呂で湯船に浸かりながらお湯で温めたタオルで目を覆うのもいいですよ」。
「20・20・20ルール」で先手を打つ
デジタル機器に向かっている最中にもできることがある。ディスプレーを凝視して目が疲れ切る前に、定期的に視線を画面から離すことを心がけよう。アメリカの学会で提唱された通称「20・20・20ルール」を実施するとよいとのこと。
「20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間眺めるというものです。実際には20分ごとは難しいかもしれませんが、1時間に1回は遠くを眺めるようにするといいですね。目薬をさすタイミングと合わせてもいいと思います」(戸崎さん)
また、画面は周囲が明るい場所で見ること。まだ研究段階ではあるが、暗い場所では瞳孔が開いてブルーライトが目の奥により届きやすくなり、ダメージが大きくなるといわれている。姿勢は斜め下を向いた状態で画面に向かおう。画面に対してまっすぐ前や斜め上を向いていると目を大きく開いた状態が続き、ドライアイの原因になる。視線が斜め下になる程度の高さに画面を設置するとまぶたで眼球が覆われる面積が大きくなり、その分、目が乾燥するのを防げる。
すぐにできて目がスッキリ! 簡単マッサージ
最後に、自分で簡単にできる目まわりのマッサージ方法を教えてもらった。こめかみと攅竹(さんちく)と呼ばれるツボを数回刺激するだけ。道具要らずで気がついたときに実践できる。
より手厚くケアしたいなら、プロによるケアを受けるのも手だ。サロンでは目まわりの悩みや、目の疲れからくる首・肩のコリにアプローチするマッサージを提供している。
いずれにしても大切なのは、目の疲れを自覚する前にケアすることだ。ライフスタイルが変われば、それに伴って生じうる体の不調も変わってくるのは当然のこと。もはやデジタル機器は手放せない昨今、ブルーライトに対応したアイケアは必須といえるだろう。
ロート製薬
ロート製薬 お客さま安心サポートデスク
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