男性は年齢が髪に出やすい
年を取れば顔のシワは増え、頭の白髪も増えるもの。人間の老化現象からすれば当然のことであり、一昔前であれば、ほとんどの男性は白髪を自然なものとして受け入れていただろう。
だが、人生100年時代と言われて久しく、勤労年数も延びた。仕事の向上心が強いビジネスパーソンであれば、現役でいる限りは内面も外見も若々しくありたいと思うはずだ。また、コロナ禍でウェブ会議が普及したことは、人から見た自分の印象を知るきっかけになった。洗面台の鏡の前とは異なる本来の自分を見て愕然とした人も少なくないだろう。そうしたことが相まってか、この数年、世の男性たちの白髪に対する意識が高まっているという。
「現在の40代、50代は若々しい方が多く、新しい情報をキャッチアップしたり、スキルを習得することに積極的な方が多い印象があります。ただ、そういう方ほど白髪とのギャップを感じられているようです。内面やファッションは自分の心掛けでアップデートできるけれど、それに髪の毛がついてこない、という声が多く聞かれます」
そう話すのは、毛髪に関する各種研究・開発を行う大正製薬の池沢卓浩さん。白髪ケアに関する製品のブランドマネージャーを務め、いろいろな世代から白髪に関する悩みを聞く。
「実は40代以上よりも大きなショックを受けているのが20~30代です。まだ若いのにもう白髪が……、老けて見えるのではないか……という悩みですね。世代によって悩みの内容は異なりますが、ビジネスへの影響を挙げるとすればそうしたショックによって自信が持てず、立ち振る舞いや言動が不安げになってしまうことだと思います。特に営業などで対面する機会が多い方は気にされることが多いです」
5人に3人は「白髪が気になったことがある」
その大正製薬は昨年末、30~59歳の男女1200人を対象に白髪に関する大規模な調査を行った。その結果は、数々の悩みを聞いてきた池沢さんにとっても驚きだったという。
「まず、“男性の白髪が気になったことがあるかどうか”という質問に対して、60.9%の男女が“ある”と答えたことです。こうした大規模な調査は今回が初めてなので以前との比較はできませんが、5人に3人は白髪が気になったことがあるというのは予想以上でした」
さらに、白髪の“デメリット”とも言える調査結果も明らかになった。
「前述の質問で“ある”と答えた方のうち、63.1%の男女が“白髪のある男性は実年齢より上に見える”という回答でした。では、何歳くらい上に見えるかというと、全体平均で9.3歳(調査対象461人。男性9.9歳、女性7.6歳)も上に見えているという結果が出ました。社内の男性陣がざわつくくらいの結果でしたね」
実年齢より9歳も上に見られているとは誰が見ても驚きの結果だろう。年上に見られたいという考えの持ち主なら話は別だが、若々しくありたい、老けて見られたくないと思うなら対策がマストだ。
対策として手っ取り早いのは美容院や理髪店で白髪染めをしてもらうことだが、男性からするとわざわざ店で染めるのは照れくさくもあり、時間的・金銭的にもったいない気持ちもあり、ややハードルが高い。では自宅でできる白髪ケアの種類にはどんなものがあるか。同じく大正製薬で男性の毛髪に関する研究・開発を行う手塚健太さんに聞いた。
「自宅で行えるものには大きくヘアカラー、いわゆる白髪染めと、ヘアカラートリートメントがあります。前者の白髪染めは染色力が高いものの、手間ひまがかかります。また毛髪内に化学成分で色素を入れるため、毛髪や頭皮に少なからずダメージを与えてしまいます」
白髪がきれいに染まったとしても、毛髪自体を傷めてしまっては本末転倒だ。髪へのダメージを最小限に抑えつつ染めるにはトリートメントタイプがお薦めだという。
「ヘアカラートリートメントは、染色力は白髪染めほど高くありませんが、トリートメントなので毛髪や頭皮に負担をかけることがほぼありません。また、少しずつ毛髪の表面に色を付けていくため、染めムラがほとんどないとても自然な仕上がりになります。使い方は、一般のトリートメントと同じように、シャンプーの後に髪全体に塗ってから洗い流すだけです。白髪がとても気になる時は週に数回、それ以外は週に一回程度を、継続的に使用することをお勧めしています」
スキンケアなどと同じように、地道な継続が結果につながる。平均的には1カ月ほどで、早い人なら3週間ほどで色の違いが分かるようになるという。
近頃、勤務形態が元に戻り始め、出社する回数や人に会う機会が増えたという声をよく聞くようになった。大局的に見れば今後もこの流れは変わらないだろう。久々の対面で不安にならず、自信を持ってビジネスに取り組むための準備の一環ととらえれば、白髪ケアへの意識が以前とはまるで変わってくるはずだ。
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photograph:Yuuki Kurihara