一年中、襟元はきちんと

先日、上大岡駅の京急百貨店で勝負服をオーダーで作ってきました。今日着ている細身のスーツです。体形を維持する決意で細身にしました。その意味で“勝負”スーツです。店員さんからは、もっとゆったりしたほうがいいんじゃないですかと言われましたが(笑)。

この服をはじめ、持っているスーツは黒か紺かグレーの無難な色で、ネクタイは青系統です。以前、京急電鉄の車体色に合わせて赤のネクタイを締めたことがあります。でも、やはり青のほうが合いますね。実はコーポレートカラーも青なんです。

ビジネス服で一つポイントと考えているのが襟元です。鉄道事業は安心や安全に立脚する信頼性が大事ですから、首元もだらしなくなるといけません。当社もクールビズを採用していて、制服を着ている社員も夏場はノーネクタイになります。その際も身だしなみが崩れすぎないように、シャツにはスナップボタンを採用しています。

京急百貨店の紳士服店「KEIKYU GENTLE MEASURE」でオーダーしたというスーツ。あえて細身のブラックで、若々しさと体形維持への決意を込めた“勝負服”だ

現場で本音を捉える

鉄道事業は安全を守るために制服を含めて服務義務が明確です。しかし上からの指示だけでは社員の自主性が育まれませんし、仕事が面白くないでしょう。そこで今、力を入れているのが褒め合う文化をつくることです。職場で褒め合ったケースを挙げてもらい、1年に1回、良い事例を表彰しています。

また現場を回り、良い事例があれば褒めます。逆に不備があれば直接的でなくても注意します。会議も大事ですが、現場での胸襟を開いたコミュニケーションのほうが、会議室よりもずっと職場の雰囲気や社員が抱えている問題がわかる気がします。

うれしい話では、たとえば泉岳寺駅で都営地下鉄の乗務員に電車を引き継ぐときの当社乗務員の姿勢です。ホームに降りて、引き継いだ電車が去るまで安全確認している。また乗務していた車両の調子でちょっとでも気になることがあれば、降車後の報告を欠かさない。いずれも安全運行のための原則かもしれませんが、勤務時間以外でも報告してくれます。それが上からの指示でなく、自然に行われているのが大切なんです。

飲みニケーションも毎晩です。大半は社外の方と飲み、刺激を受けています。約束のない晩は仕方ないので、秘書に「一緒に飲める社員を探してくれ」とね(笑)。

愛用の逸品~38年間履き続けている登山靴

入社時に配属された労務課の先輩からプレゼントされた軽登山用の靴です。入社するまで登山の経験はほとんどなかったのですが、その先輩に誘われて年に何回か八ヶ岳に登りました。今は昔ほど登る機会はありません。それでも昨年は泊まりで福島県の安達太良山へ、日帰りで丹沢の山に行きました。最近靴底が破れ、少々高かったけど修理してもらいました。履きなれた靴ですからね。

原田一之/Kazuyuki Harada
京浜急行電鉄代表取締役社長
1954年、神奈川県生まれ。76年、東北大学法学部卒業後、京浜急行電鉄入社。人事部長などを経て、2007年取締役。10年常務。11年専務。13年から現職。

text:Top Communication
photograph:Sadato Ishizuka
hair & make:RINO