G-SHOCKが産声を上げたのは1983年のこと。当時、腕時計とは時刻を知るための“精密機器”であり、薄型・小型であることがいい時計の条件だった。そんな時代に「壊れない」という腕時計の新しい価値を標榜し、内部のモジュールを宙に浮かせるような中空構造を考案、重厚感のある漆黒樹脂のケースを備えて登場したのがG-SHOCKだった。

G-SHOCKの開発は、とある腕時計を落とした際に壊れたことがきっかけで始まったという。カシオがウォッチブランドを立ち上げるのはこのG-SHOCKが初であり、老舗が並み居る時計業界では新参者だったと言わざるを得ない。だが、新参者であればこそ、それまで時計メーカーが目をつぶっていた「堅牢性」という時計の根本的な性能に大胆に切り込み、腕時計を“タフな”精密機器へと変える発想に至ったのだ。時代を画する革新は時として業界の周辺から起こるものである。

その後の世界的ヒットは周知の通り。今年でブランド誕生35年、累計販売本数は1億本を超えた。この間、ラウンド形ケースやアナログ式表示、メタル製ケースなど多彩なバリエーションを発表し、陸海空、ストリート、音楽、アートなどあらゆるシーンでG-SHOCKワールドを拡大してきたが、堅牢性追求というDNAは一貫して変わることがない。

「GMW‐B5000D」。ケース、ブレスレットはステンレススティール。ケースサイズ49.3×43.2mm。ソーラー。6万円(税別)
ケースやベゼルの表面はヘアラインとポリッシュに磨き分けて上質感を創出。ケース厚13mm

角形ケース、デジタル式表示の「GMW‐B5000D」は、かつてG-SHOCKに惚れた世代には懐かしさがこみ上げる最新作。外装がメタル製になり大人らしい印象が強まった。Bluetooth経由でスマホとリンクするほか、標準電波受信機能も搭載。事前に作成した予定のリマインドなど、G-SHOCK専用アプリも使用できる。

「MTG‐B1000D」。ステンレススティール。ケース径51.7mm。ソーラー。ステンレススティール×ファインレジン・ブレスレット。10万円(税別)
ブレスレットの内側には先端素材のファインレジンを組み合わせ、耐久性と装着感を向上

今回取り上げた最新のG-SHOCKは、オリジナルのデザインを踏襲したモデルと、その進化形というべきラウンド形ケースにアナログ式表示を備えたモデル。ともにBluetooth対応、標準電波受信、ソーラー充電という便利な機能を備え、メタル製の外装はタフネスさと同時に上質感も併せ持つ。快適にアクティブに世界を旅する大人にこそ薦めたい時計である。

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カシオ計算機

text & edit:d・e・w
photograph:Masahiro Okamura(CROSSOVER)