モダンで洒脱なパリのエスプリが体感できる
老舗が並み居る高級時計の世界では新しいブランドだと言わざるを得ないが、ベル&ロスの独自性はこれ以上ないほど際立っている。ブランドの創設者は気鋭のデザイナーだったブルーノ・ベラミッシュと元バンカーのカルロス・A・ロシロ。共にフランス人で、オタク級の時計好き。旧知の仲だった二人は時計への熱情をライフワークへと変えるべくベル&ロスを立ち上げる。1994年、フランス・パリでのことだ。
その際に二人が立てたフィロソフィーが「自分たちが本気で欲しいと思う時計をつくる」ことだった。高級時計の大手コングロマリットに属さずに独立性を保っているのも、新作をむやみに乱発せずに質を追求するのも、すべては納得がいく時計をつくるため。二人が幼い頃から憧れてきた航空世界のイメージとパリならではのエスプリをかけ合わせ、アクティブでありながら現代的にあか抜けた腕時計を創造し続けている。
そのベル&ロスが今年の5月に、東京・銀座に日本初となる直営ブティックをオープンした。その店舗デザインは、腕時計と同様にあか抜けている。滑走路をほうふつとさせるコンクリートの床、航空機のダッシュボードに用いられるブラックを貴重としたインテリア、さらには航空機のフォルムをそのまま落とし込んだかのようなソファなど、航空世界のイメージを現代的にアレンジ。従来の高級時計ブティックにありがちな重厚感はなく、どこまでも軽妙な空間になっている。
ベル&ロス 銀座ブティック
東京都中央区銀座4‐9‐13
03‐6264‐3989
日本限定からコラボモデルまで個性際立つ3モデル
ベル&ロスの日本での拠点となる銀座ブティックは、もちろん品ぞろえも国内随一。レギュラーコレクションをはじめレアなモデルやハイエンドなモデルも充実するほか、新作がいち早く入荷するというメリットもある。今回は、それらの中から、一年の節目の“ほうび”として手にしたい、特別感のある3モデルをお届けしよう。
まずセレクトしたのは、この11月発売の最新作「BR 05 レッド スティール」だ。ベル&ロスの時計は航空機の計器からインスピレーションを得たものが多く、どちらかというとアクティブなデザインが多数を占める。その中でこの「BR 05」コレクションはアーバンをテーマとした洗練されたデザインを特徴とする。レギュラーモデルのダイヤルカラーはブラック、グレー、ブルーがラインアップするが、そこに日本限定99本の特別カラーとしてサンレイ仕上げのレッドが登場。鮮やかなレッドカラーに加えて希少性もまた自分への“勲章”として格好だ。
続いては、同じコレクションから「BR 05 GMT」をチョイスした。文字盤外周部に設けられた24時間リングとダイヤルセンターのGMT針で第2時間帯の時刻が読み取れる。また、24時間リングがブラックとシルバーに色分けされており、第2時間帯の昼夜まで容易に判別が可能。世界を相手にするビジネスパーソンにはうってつけの機能だ。来年はもっと海外とのビジネスに取り組みたいという目標を込めて自分に贈る。きっと今後の仕事へのモチベーションになるはずだ。
最後に取り上げるのは、ベル&ロスでは珍しくカーレースの世界から着想されたモデル。ベル&ロスは2016年にルノーF1®チームとパートナーシップを締結し、同チームがアルピーヌF1®チームへと改名された今年からは公式計時パートナーを担っている。これを記念して今年発表されたモデルの一つが「BR 03‐94 A521」だ。
デザインは、ブランドのアイコン的な「BR 03」のケースに、アルピーヌを象徴する青、黒、白を基調としたもの。アラビア数字の書体、2つのインカウンターやクロノグラフ用のプッシャーの意匠をアレンジして、航空世界とは異なる疾走感を創出するデザインの妙はいかにもベル&ロスらしい。クルマ好き、カーレース好きであれば自らの趣味嗜好に正直に、こんな時計を“わがまま買い”するのも自分へのほうびならではの醍醐味だ。
この記事の情報は2021年11月18日時点のものです。在庫や価格などが変動する場合があります。
ベル&ロス 銀座ブティック
TEL:03‐6264‐3989
text:d・e・w
photograph:Kazuma Okita