国内唯一、正規認定のヴィンテージモデルが入手できる

1755年にスイス・ジュネーブで創業したヴァシュロン・コンスタンタンは、創業から現在に至るまで一度の間断もなく事業を継続する世界最古の時計メゾンである。そのヴァシュロン・コンスタンタンがこの12月5日に、日本での新しい旗艦店を東京・銀座にオープンした。場所は銀座四丁目の交差点からほど近く、かつ晴海通り沿いという一等地。時計好きならば天賞堂という店舗をご存じかと思うが、そのビルの1・2階部分が「ヴァシュロン・コンスタンタン 銀座本店」として生まれ変わった。天賞堂は1879年創業の老舗であり、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計の輸入販売を早期に開始した店舗でもある。両社の長い信頼関係がこのたびの新しいブティックの足がかりとなった。

外観
コーナーの外壁とその下のガラス枠にはブランドシンボルであるマルタ十字をあしらった。ベージュやゴールドを基調とした外観は時計店というよりサロンのような印象で、女性一人でも訪れやすい

さて、この新しいブティックに足を踏み入れると、端正でモダンな店舗デザインや、オープンの記念として展示された日本人イラストレーター・山崎杉夫のアートワークも印象的だが、それ以上に、時計好きが足しげく通いたくなるようなサービスが展開される。それが「レ・コレクショナー」という日本では初となるサービスである。

このレ・コレクショナーは、これまでにヴァシュロン・コンスタンタンが製造・販売した正規品の中から歴史的なモデルを自社で買い戻し、ヘリテージ部門の専門家によるメンテナンスを行った後に、オフィシャルの保証書を付けて再販するというもの。ヴァシュロン・コンスタンタンのような世界的メゾンになると過去の名機・名作を探し出すことが難しく、さらに機械のコンディションまで良好のものとなるともはや雲をもつかむような話である。それがオフィシャルの保証付きで手に入るのだから信頼感はこの上ない。このサービスを行うのは世界でも6店舗ほどで、銀座本店には常時8ピースがそろう。各店舗の在庫モデルはつねに変動するため、足しげく通っていればお目当てのモデルに出会えるかもしれない。

1階内装
1階はネイビーやブラウンを多用した落ち着いた空間でありながら、照明や什器のデザインに遊びが効いている。右上に見えるのが山崎杉夫のアートワーク。2022年3月末までの期間限定でディスプレーされる
2階内装
一転して、2階は白を基調にアクセントカラーを加えたインテリア。カウンターの側面に設けられた引き出しに「レ・コレクショナー」のモデルが入る。スタッフにリクエストすれば引き出しを開けて見せてくれる
ケース内の時計
この日在庫していたレ・コレクショナーのモデル。右はブランド創業222周年の記念モデルとして1977年に発表された「222」。現行の「オーヴァーシーズ」コレクションの原型となったモデルとしていまだ人気が根強い(在庫モデルは随時変動あり)

また、この銀座本店にはさまざまな種類のストラップをタッチパネル上で組み合わせられるカスタムストラップステーションを併設するほか、スイス本社で研修を受けた時計師が常駐し、精度や磁気のチェックや一部モデルのオーバーホールに対応。購入後の各種相談も行えるブティックとなる。

ヴァシュロン・コンスタンタン 銀座本店
【住所】東京都中央区銀座4‐3‐9
【電話番号】03‐6862‐1755
【営業時間】12:00~20:00

エグゼクティブには特別感の高いこの3モデル

では、ここからはこのヴァシュロン・コンスタンタン 銀座本店から、エグゼクティブや時計愛好家にふさわしいモデルをセレクトしてお届けしよう。

まず、この11月に発売となった最新作が「トラディショナル・コンプリートカレンダー」である。月と曜日の表示を3時と9時位置に振り分け、日付をセンター針で指し示すコンプリートカレンダー機構はヴァシュロン・コンスタンタンの伝統的なメカニズム。視認性も高いこのシンメトリーのレイアウトと「トラディショナル」の端正なデザイン、そこに新たにスレートグレーのダイヤルが組み合わされて、何とも品格の高いモデルへと仕上げられた。誠実、信頼といった人となりのシンボルとなり得るうえに機能的にも有用なこんな時計を、日々のビジネスのパートナーとしてみたい。

時計
「トラディショナル・コンプリートカレンダー」。18Kホワイトゴールドケース。ケース径41mm。自動巻き。3気圧防水。アリゲーターストラップ。488万4000円(税込)
時計裏面
月・曜日・日付を表示するコンプリートカレンダーに加えムーンフェイズも備わるキャリバーを搭載。パワーリザーブは約40時間。自動巻きのローターにはブランドシンボルのマルタ十字をあしらっている

続いては、工芸的な美しさを追求する「メティエ・ダール」コレクションからの一本。ヴァシュロン・コンスタンタンは装飾や彫金などの技巧を凝らしたモデルを毎年のように制作している。職人の技術へのオマージュを示すと同時に、彼らの技術を途絶えさせることなく継承していくという強い思いがあるからだ。

今年2021年は「レ・グランヴォヤージュ(=大航海)」をテーマとした3部作を制作、そのうちの一つがこの「メティエ・ダール“レ・グランヴォヤージュ”ペドロ・アルヴァレス・カブラル」である。ダイヤルの細密画の題材は、ポルトガル人探検家カブラルによる南米大陸発見。その海洋探検物語を、釉薬を塗っては高温で焼成するというプロセスを11回も繰り返すグラン・フー・エナメルの技法で描き上げた。折しも一年の締めくくりの時季である。タイムピースを超えて工芸品のような価値を持つこんな時計を、自分への褒美とするのもいい。

時計
「メティエ・ダール“レ・グランヴォヤージュ”ペドロ・アルヴァレス・カブラル」。18Kピンクゴールドケース。ケース径41mm。自動巻き。3気圧防水。アリゲーターストラップ。1584万円(税込予価)

最後に取り上げるのは時計技術の粋といえる複雑時計、「トラディショナル・クロノグラフ・トゥールビヨン」である。その名の通りトゥールビヨンとクロノグラフを組み合わせたモデルだが、12時位置のキャリッジを秒表示の中間車によって駆動させることで、一般的な機構よりも大きな開口を確保。さらにクロノグラフは、リュウズと同軸のプッシャー一つでスタート、ストップ、リセットが行えるモノプッシャータイプ。トゥールビヨン自体は目新しい機構ではなくなったが、そのアレンジや組み合わせの技術は、長年にわたる複雑機構開発の積み重ねがあればこそである。今年一年を振り返って「よくやった!」といえるならこんな頂点的なコンプリケーションを。この上ない“勲章”となり、次へのモチベーションへとつながるはずだ。

時計
「トラディショナル・クロノグラフ・トゥールビヨン」。18Kピンクゴールドケース。ケース径42.5mm。手巻き。3気圧防水。アリゲーターストラップ。2706万円(税込予価)
時計裏面
ケース裏には複雑な形状のパーツが立体的に積み上がった手巻き式クロノグラフ特有のキャリバーが覗く。ブリッジやケースにはジュネーブ・シールが刻印されている

この記事の情報は2021年12月7日時点のものです。在庫や価格などが変動する場合があります。

問い合わせ情報

問い合わせ情報

ヴァシュロン・コンスタンタン 銀座本店
TEL:03‐6862‐1755

text:d・e・w
photograph:Hirotaka Yabusita