グラスヒュッテの時計製造の歴史を受け継ぐ

高級時計ブランドのネーミングは、ルーツとなる時計工房の創業者や時計師の名前に由来するものが多い。その中で異色なのがグラスヒュッテ・オリジナルである。グラスヒュッテとはドイツ東部に位置する古都ドレスデンの近郊の町。その地のオリジナルという一風変わったネーミングとなっている。それは、このブランドがグラスヒュッテの時計づくりの歴史を受け継ぐ存在であるからだ。

現在、グラスヒュッテはドイツ時計産業の中心地として知られている。その起こりは19世紀半ばにさかのぼる。それまでグラスヒュッテでは銀の採掘が主要産業となっていたが、銀が枯渇すると途端に深刻な貧困に襲われる。この窮地を乗り越えるべく、ザクセン州と有志が一体となって興したのが時計産業だった。19世紀半ばから後半にかけていくつもの時計会社が設立され、彼らがつくる高品質の時計や手頃さを売りにした時計が評判となり、ドイツ国内外にグラスヒュッテの名が知れ渡っていった。

こうしてグラスヒュッテを困窮から救った時計産業だったが、20世紀半ばに歴史の波に翻弄される。第二次世界大戦が終盤を迎えると、グラスヒュッテの会社は一つ残らずロシア軍により接収され、時計産業もまたすべての会社がグラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ(略称GUB)という国営企業へ統合された。再び民営企業となるのはそれから40年以上後の1994年、ドイツ再統一の4年後のことだった。そして民営化後の再出発となった時計に用いられたのが、他ならぬグラスヒュッテ・オリジナルという名だったのである。

このブランドを語る上でグラスヒュッテの歴史を欠かすことはできない。現在、グラスヒュッテ・オリジナルが属するスイスのスウォッチ グループもそうした時計産業の歴史・文化を後世に残すべき重要なものととらえている。かつて時計学校だった建物を購入し、グラスヒュッテ・ドイツ時計博物館へと改修して歴史的な時計の保存・展示に取り組んでいることがその一つの証しである。

さて、そのグラスヒュッテ・オリジナルから今年、オン・ビジネスでも着用できる使い勝手の良いダイビングウォッチ「SeaQ(シーキュー)」が登場した。原型となったのは、GUB時代の1969年にグラスヒュッテで最初につくられたダイビングウォッチ「Spezimatic RP TS 200」。39.5mm径という小ぶりなケース、針や数字の意匠に当時の趣を残しながらも、ディテールのアレンジやレッドゴールドとブラックのカラーリレーションで現代的なエレガンスも併せ持つデザインに仕上げられている。

時計
国際規格ISOとドイツ国内規格DINに準拠したダイビングウォッチ「SeaQ」。18Kレッドゴールドケース。ケース径39.5mm。自動巻き。20気圧防水。ラバーストラップ。279万4000円(税込)
時計側面
ケース径39.5mmに対してケース厚は12.15mm。オン・ビジネスの装いに合わせてもいたずらに主張することはない
時計裏面
39mm径のモデルでは初めてケースバックがシースルー仕様に。ドイツ時計に多く見られるスワンネック緩急微調整装置や美しく装飾されたローターをその目で楽しむことができる
時計
軽量で耐久性にも優れた繊維、シンセティックをストラップに使用したモデルもラインアップ。スペック、価格はラバーストラップモデルと同一

また、高品質で名声を得たグラスヒュッテの時計ブランドらしく、性能面も抜かりはない。傷が付きにくいセラミック製の逆回転防止ベゼル、20気圧防水などを備え、ダイビングウォッチの国際規格ISO 6425と、ドイツ工業規格のDIN 8306の双方に準拠している。

ダイビングウォッチというと、見た目はパワフルで中身はハイスペック、というのが少し前までのスタンダードだった。しかしながら昨今は、ダイビングなどのハードユースにも耐え得る外装を備えながらも、薄型・小型化や素材使い、あるいはディテールワークで都会的にリファインされたデザインが多く、ビジネスユースも可能なモデルが増加中。このSeaQもまさにその流れにある。オン・ビジネスにおいて力強くタフな人となりを主張する二つとないツールになるはずだ。

問い合わせ情報

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グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座
TEL:03‐6254‐7266


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