“末永くよろしく”を普遍のエレガンスに込める

決して平坦な1年ではなかっただろう。コロナ禍をくぐり抜け日常を取り戻したとはいえ、ビジネス面では苦難の局面もあったはずだ。そんな難局を何とか乗り越えられたのは何が故か。自分のパフォーマンスが満足いくものであったとすれば、それは親身になって自分を支えてくれる人がいたからこそであろう。アニバーサリーやメモリアルイヤーでなくてもいい。この1年を振り返り最大級の感謝を伝えたい相手がいるならば、選びたいのは最上級のペアウォッチである。

最高峰を謳うブランドは数あれども、ことペアウォッチという点で選ぶならその筆頭に挙げたいのがヴァシュロン・コンスタンタンである。周知の通り、ヴァシュロン・コンスタンタンは1755年の創業以来、一度の中断もなく時計作りを継続するスイス高級時計の最古参メゾン。歴史の力とはすなわち技とノウハウの膨大な蓄積にある。その広さ、深さにおいてこのメゾンの右に並ぶブランドは多くない。それのみならず、メゾンの創業初期から王侯貴族を顧客に持ち、精緻な装飾を施した宝飾時計を制作してきた歴史がある。ジェムセッティングや美しい仕上げによるエレガンスの創造においてもトップレベルにあると言っていい。

そうしたエレガンスを存分に堪能できるのが、ここで取り上げる「パトリモニー」コレクションである。コレクションの特徴は、やや細めのベゼルを合わせたラウンド形ケースや、くさび形とバー形を組み合わせたインデックス、そしてドット型の分目盛りが織り成す上質なシンプリシティーだ。シンプルウォッチはごまかしが利かないためブランドのセンスや製造のクオリティーがもろに問われる時計だが、このパトリモニーは、ディテールの形状、長さ・太さの比率、全体とのバランス、そして丁寧な仕上げを追求してエレガントなハーモニーを創出している。“神は細部に宿る”の好例と言えるコレクションである。

そのパトリモニー・コレクションから今回セレクトしたのは、まず女性向けには、ベゼルに72個のダイヤモンドをセットした「パトリモニー・オートマティック」。ディープブルーのグラデーションの文字盤とダイヤモンドの清澄な輝きが、知的で洗練された女性の手元によく似合う。時代に左右されない普遍的なエレガンスは、「20年後、30年後もよろしく」というメッセージを代弁してくれそうだ。工具を使わずにストラップの交換ができるシステムを備えているので、この先、何らかの感謝やお祝いのタイミングにストラップを1本ずつ贈っていくというのもいい。

時計
クラシックの薫りを漂わせながらも、やや大ぶりの36.5mm径のケースやディテールワークで現代性を獲得。自動巻きながらケース厚を8.45mmに抑えた点もエレガンスを助長する。控えめなダイヤモンド使いは、普段遣いからドレスアップ時までシーンを選ばない。ケースバックはトランスペアレント仕様。パワーリザーブは約40時間。ジュネーブ・シール取得。「パトリモニー・オートマティック」。18Kホワイトゴールドケース。ケース径36.5mm。自動巻き。3気圧防水。アリゲーターストラップ。523万6000円(税込)

そして男性向けには、同じブルー系の文字盤を備えた「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」をセレクトした。文字盤に加えてもう一つのセレクトのポイントが、レトログラードという特殊な機構を備えていること。レトログラードとは扇状の目盛りに沿って指針が進み、目盛りの終点に達すると指針がジャンプして起点に戻る機構を指す。このモデルでは、日付と曜日の表示にこのレトログラード機構を採用している。戻ることのない時間が逆行するような観念的な針の動きには、この1年奮闘した自分への褒美にふさわしい特別感がある。

時計
2つのレトログラード機構を搭載し、9時から3時に並ぶ数字で日付を、7時から5時にわたる英字で曜日を表示する。機構のユニークさもさることながら見やすさも秀逸だ。ピンクゴールドとブルーの色合わせは軽妙なしゃれ感がある。ケースバックはトランスペアレント仕様。パワーリザーブは約40時間。ジュネーブ・シール取得。「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」。18Kピンクゴールドケース。ケース径42.5mm。自動巻き。3気圧防水。アリゲーターストラップ。708万4000円(税込)

パートナー向けにダイヤモンドならば、自分にはちょっとユニークなメカニズムを。今回セレクトした2モデルは、互いの満足度を高めるそれぞれの価値を備えながらも、ブルーの色み、そして全体のエレガンスが2人をつなぐ。エレガントなデザインは女性へのギフトの王道だろう。見目麗しく実もあるこんな時計ならなお良いはずだ。美を解する2人には本命のペアウォッチと言える時計である。

問い合わせ情報

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ヴァシュロン・コンスタンタン
TEL:0120‐63‐1755


photograph:Kazuteru Takahashi
edit & text:d・e・w