自分への褒美にもうってつけ。こんなコンプリケーションはトップを目指すビジネスパーソンの武器となる

腕時計の世界で、コンプリケーションとは複雑な機構を載せたモデルのことを指す。その機構は重力による姿勢差を低減するトゥールビヨンや、現在時刻を音で伝えるミニットリピーターを筆頭にいくつかあるが、現代社会において最も実用性が高いのがパーペチュアルカレンダーである。

永久カレンダーとも呼ばれるこの機構は、その名が示す通り、半永久的に暦表示を行う機構のこと。月、曜日、日付、そしてうるう年を表示し、さらに一度暦をセットすれば、時計が動き続ける限り西暦2100年まで修正不要という優れたメカニズムだ。数あるカレンダー機構の中でも最上位に位置する機構である。

ドイツ・グラスヒュッテに拠点を置くマニュファクチュール、グラスヒュッテ・オリジナルからこの秋登場した「セネタ・エクセレンス・パーペチュアルカレンダー」は、その永久カレンダー機構とムーンフェイズ機構を搭載したコンプリケーションである。このブランドの特徴的機構であるパノラマデイト（大型日付表示）をはじめとする暦表示とムーンフェイズ表示を、ダイヤル上に五角形を描くように配置したレイアウトはバランスが良く、それぞれの表示が独立しているため視認性も高い。

そしてこのモデルにはもう一つ、特筆に値する部分がある。それが腕時計としての基本性能の高さだ。内包する自社製ムーブメントのキャリバー 36‐12は、耐磁性や耐久性に優れ、摩擦による精度誤差が生じにくいシリコン製ひげぜんまいを採用し、さらに香箱のサイズや中心軸を最適化して主ぜんまいを伸長。結果、毎秒8振動という高精度が期待できる振動数で、100時間以上のパワーリザーブを確保するに至った。さらに、ケースへのムーブメントの固定にバヨネット方式を採用。これはカメラ本体にレンズを固定する際の仕組みと同種のもので、固定の正確性や安定性に優れる。

こうした優れた性能を裏付けるのが、ムーブメントをケースに収めた時計完成品の状態で、24日間におよぶ自社の品質検査をクリアしていることだ。検査の内容は広範に及ぶが、中でも特筆に値するのが精度と歩度のテスト。グラスヒュッテ・オリジナルでは日差を－2～＋6秒以内に収め、歩度テストは6姿勢で行うことを課している。スイス公式クロノメーター検定機関（COSC）の規準が日差－4～＋6秒、5姿勢での歩度テストであるから、その厳しさは明らかである。

優れた機構や性能を備えながら、その実力をことさらに喧伝することなく、あくまでも上品でアンダーステートメント。コンプリケーションには複雑さを強調したものや、これみよがしなデザインを携えたものも少なくないが、このセネタ・エクセレンス・パーペチュアルカレンダーはそれらとは明らかに一線を画し、デイリーに着けることを想定した実用度の高いコンプリケーションと言っていい。常に品格が欠かせない上級のビジネスパーソンにこそ薦めるゆえんである。

なお、このモデルと同時にもう一つ、「セネタ・エクセレンス・パノラマデイト・ムーンフェイズ」も発表された。こちらは機能をパノラマデイトとムーンフェイズに絞り、それらをダイヤルの4～5時位置と10～11時位置に振り分けた。機能は異なるが、ムーブメントの基本性能や品の良い顔つき、そして24日間テストをクリアしている点は、永久カレンダーモデルと変わらない。高品質がより手軽に楽しめるモデルである。