次は何を見せてくれるのか? この期待感がウブロの引力
新しく時計製造に導入したマテリアルの数、腕時計に使用してきたカラーの種類、そしてケースフォルムのバリエーション。どれを取ってみてもウブロのパフォーマンスはずば抜けている。言い換えれば、2000年代半ばに端を発するウブロの躍進は、素材、色、形において、ほとんどタブーを設けずに自由闊達に創作を行ってきたことが大きい。それらの掛け合わせから生まれる斬新なクリエーションがウブロワールドを拡大し続けてきた。
今年の新作群は、まさにそうした時計作りを象徴するようである。まずは、鮮やかなオレンジカラーのセラミック素材を備えた「ビッグ・バン ウニコ オレンジセラミック」。傷に強く、滑らかな光沢を放つセラミックは、21世紀になってから注目され始めた素材である。ブラックやホワイト以外の有彩色のセラミックについては、ウブロがいち早く時計製造に取り入れてきた歴史があり、これまでにブルー、グレー、グリーン、レッド、イエローなど、多彩なカラーのケースを製造してきた。
そこに今年加わったのが、このオレンジセラミックである。セラミックはビビッドなカラーのほうが製造の難度が高いといわれているが、その点、ウブロにはこれまでにレッドやイエローを開発してきたノウハウがある。海でのクルーズへ、あるいは緑に囲まれたゴルフコースへ……などと、外へと連れ出したくなるようなバイタリティーにあふれる時計である。
ウブロが得意とするマテリアル、もう一つがサファイアである。時計の風防にも使われるサファイアクリスタルは極めて硬度が高く、それ故に加工が難しい素材だが、ウブロは2016年に初のサファイアクリスタル製の時計を発表。その後はブルー、レッド、ブラック、イエロー、グリーン、オレンジといったカラーサファイア製のケースも製造してきた。
そして今年、カラーサファイアの歩みは新しい地平へ。ブルーよりライトで水色よりも清々しさのあるウォーターブルーのサファイアケースを披露した。内部には7つの香箱を搭載した異色のムーブメントを積んでいるものの、複雑機構につきものの重厚感や物々しさはない。むしろどこまでも軽やかでコンテンポラリーな印象だが、それはこのケースの賜物である。
セラミックやサファイアの素材開発は、さらに新しいマテリアルを生む足がかりとなる。セラミックの開発で得た技術や知見があってこそ誕生したのがウブロ独自の合金、マジックゴールドである。この18Kマジックゴールドをスクエア形のケースに用いた新作が「スクエア・バン ウニコ マジックゴールド」である。
マジックゴールドとは、簡潔に述べるとゴールドとセラミックの合金である。イメージとしては、柔らかく傷がつきやすいゴールドに硬質なセラミックを混入したもので、その特徴は18金でありながら通常のゴールドの倍以上の硬度を有する点にある。新しい技術や知見は、これまでの常識や既成概念を変え得る。次はどんな“常識破り”を見せてくれるのか、と期待させるウォッチメーキングがウブロ躍進の原動力である。
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LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ
TEL:03‐5635‐7055
photograph:HUBLOT
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