タフなカーレースからオン・ビジネスまで

ラウンド形のケースにリュウズと2つのプッシュボタンを備え、ダイヤルには3つのインダイヤルと時速計算が行えるタキメーターを装備。クロノグラフの手本とも言うべきオーセンティックなデザインを携えたのが、ショパールの「ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ」である。

ミッレ ミリア(1000 Miglia=伊語で1000マイルのこと)とは毎年初夏にイタリアで開催されるクラシックカーレースのことで、フェラーリ創設者のエンツォ・フェラーリが「世界で最も美しいレース」と称したことでもつとに有名なレースである。ショパールは1988年からこのレースのスポンサー兼公式タイムキーパーを務めており、毎年その記念としてレースの名を冠した特別モデルを発表してきた。今回取り上げるミッレ ミリア クラシック クロノグラフはその2024年版となる。

時計
カーレースのミッレ ミリアを記念して発表された「ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ」。風防はスリムなベゼルに固定された高さのあるグラスボックスタイプ。ダイヤルの見やすさ、美しさを共に高める。ステンレススティール(ルーセントスティール)ケース。ケース径40.5mm。自動巻き。50m防水。カーフストラップ。138万6000円(税込)
時計裏
ケースバックの12時側に「1000 MIGLIA」の刻印が入る。シースルー部分からCOSC認証を取得したクロノグラフキャリバーの回転錘の動きが眺められる。パワーリザーブは54時間

ショパール共同社長のカール‐フリードリッヒ・ショイフレは、毎年ミッレ ミリアに自ら出走するほどのクラシックカー好き。それだけあって毎年製作する特別モデルへのこだわりも並々ならないものがある。今年のモデルも、まずケースには80%以上がリサイクル素材から成るショパール独自のルーセントスティールを使用。一般的なスティールよりも50%ほど硬度が高く、レース中の衝撃や摩擦に対して高い耐性を持つ。

その内側に置かれた文字盤は、円状のサーキュラーサテン仕上げのシルバーカラーダイヤルと、同じく円状のスネイル仕上げを施したブラックのインダイヤルから成る。これはレースのゴール時に振られるチェッカーフラッグの色を再現したものというが、結果的にインダイヤルの積算分数が見やすくなるという副次的効果も生んだ。そして内部にはCOSC認定取得のクロノグラフムーブメントを搭載。外装やダイヤルのみならず内部機構の性能もレース仕様となっている。

レーシングカー
カーレースのミッレ ミリアは、イタリアの古い街並みや田園地域、山岳地帯など全行程2200kmを3~5日間かけて駆け抜ける。今年も6月中旬に開催された
白人男性2人
ショパール共同社長のカール‐フリードリッヒ・ショイフレ(左)は、今年も自身のクラシックカーで出走。コ・ドライバー(ナビゲーター)はF1などで活躍したレジェンド的カーレーサーのジャッキー・イクス

こう見てくると、今年のミッレ ミリア クラシック クロノグラフはカーレース向けのタフなクロノグラフに思えるが、それだけではない。オフやアクティビティーを共にできるだけでなく、オン・タイムにも重宝するモデルと言っていい。それはこの時計がクラシックを踏襲してデザインされているからだ。

オニオンスタイルのようなリュウズやT字タイプのプッシュボタンをはじめ、古典的な数字書体をアレンジしたインデックス、1930年代から多く見られたグラスボックスタイプの風防、さらに前述したダイヤルの伝統的な仕上げ……と、つぶさに見れば随所にクラシックのエッセンスが見て取れる。クラシックのエッセンスが織り成すのは、時代を超えて親しまれる普遍的な気品に他ならない。オンでも重宝する“万能クロノグラフ”と称する理由である。

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photograph:CHOPARD
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