画期的な名作「ダ・ヴィンチ」が未来を切り拓いた

IWCの発展に大きく寄与した人物が、クルト・クラウスという設計者である。1980年代、IWCのムーブメント設計の責任者だったクラウスは、西暦2100年まで暦の修正が不要な永久カレンダー機構の腕時計化に着手する。

だが、当時のマーケットには永久カレンダー腕時計がすでに存在していた。同じものを作っては意味がない。彼が出した結論は、クロノグラフキャリバーに永久カレンダーを組み込み、2499年までの西暦を4桁の数字で表示する機能を備え、さらに各種表示の調整がリュウズひとつで行えるという簡潔で利便性に優れた設計だった。こうして完成したのが1985年に発表されたIWCの記念碑的名作、「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー」である。

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1985年発表、クルト・クラウス設計のムーブメントを搭載した「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー」。IWC初のクロノグラフ搭載パーペチュアルカレンダーモデル

この「ダ・ヴィンチ」を嚆矢として、以後IWCはカレンダー機構の高精度化や高性能化、さらに同機構に併載されることが多いムーンフェイズ機構の改良に意欲的に取り組む。それらは現在ではIWCにとって欠かせない機構であり、譲れない機構になっている。なぜIWCがカレンダー機構に執着するかと聞かれれば、その答えはクルト・クラウスという名設計者にたどり着く。

今年発表の「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」は、そうした開発の流れを汲む最新の画期的な成果である。ムーンフェイズの精度は前述の通り4500万年に1日の誤差で、この高精度はギネスブックにも登録されたという。肝心のカレンダー機構も理論上では少なくとも西暦3999年まで、うるう年を含めて正確な暦を表示し続ける。少なくとも、と述べたのは西暦4000年をうるう年にするかどうかがまだ正式に決定されていないためだ。

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今年の話題作、「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」。カレンダー機構とムーンフェイズ機構の頭抜けた精度もさることながら、文字盤の仕様も先進的。ガラス製の文字盤に、機械加工して研磨したインダイヤルを手作業で取り付けるという凝りよう。半透明ディスクに覆われたダブルムーンはおぼろ月のようで美しい
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同じく今年発表の「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」。IWC初のオブシディアンというブラックカラーでダイヤルを彩った。サンレイパターンの上にラッカーを塗り重ね、奥深い質感に仕上げている

今回、IWCが東京・銀座のブティックに期間限定で開設する「スペシャル・ギャラリー」では、その「エターナル・カレンダー」を含め往年の名機がそろう。IWCが誇るカレンダーモデルの系譜をたどれるまたとない機会、時計ファンであればぜひその目で実機の魅力を感じてほしい。

スペシャル・ギャラリー
日時:2024年10月1日(火)~10月14日(月・祝) 11:00~20:00
場所:東京都中央区銀座6‐6‐1 IWC銀座ブティック2階 特設会場
電話:0120‐261‐868(店舗)
*展示品は変更される場合があります

問い合わせ情報

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IWCシャフハウゼン
TEL:0120-05-1868

photograph:IWC SCHAFFHAUSEN
edit & text:d・e・w