これみよがしではない、上品な感性で通じ合う

女性向けのタイムピースは宝飾の扱いに長けたジュエラーが強く、男性向けのタイムピースは時計専業のウォッチメーカーが強い、という傾向が従来ある。それら双方のバランスが取れたブランドとなると数える程度になるのだが、その希有な存在の一つがショパールである。

ショパールは1860年に創業した時計工房を出自とするブランドだが、3代目の時代に後継者に恵まれず、1963年に現在のオーナーであるショイフレ家へと経営権を譲渡する。そのショイフレ家の家業がジュエリーウォッチやジュエリーの製造だった。

ジュエリー製造の技術やノウハウが加わったショパールは、以降、きらびやかな貴石をあしらったジュエリーウォッチを数多く手掛け、さらに1990年代には腕時計を自社で一貫製造するマニュファクチュールが稼働。本格機械式の「L.U.C」コレクションは、その品質の高さによりショパールの名声を再び時計業界に知らしめた。現代のショパールが女性もの、男性ものの双方に長けているのはこうした成り立ちによるところが大きい。

さて、そんなショパールの女性向けウォッチから、今回は「ルール・ドゥ・ディアマン」をセレクトした。ショパールには、ダイヤモンドが時計のダイヤル上をくるくると動く「ハッピー・スポーツ」をはじめキュートなモデルが多いが、審美眼に長けたパートナーに贈るのであれば推奨したいのはルール・ドゥ・ディアマンである。ジュエラーとして、ウォッチメーカーとしての卓越したクラフツマンシップが随所に息づき、目利きにふさわしい高尚な美を携えているからだ。

ルール・ドゥ・ディアマン(左)とL.U.C パーペチュアル ツイン
(左)ダイヤルのマザー・オブ・パールやダイヤモンド、ゴールドの技巧など、多彩なクラフツマンシップを宿す「ルール・ドゥ・ディアマン」。ケース、ブレスレットは18Kローズゴールド(エシカルゴールド)。ケースにはダイヤモンドをセット。ケース径33mm。手巻き。30m防水。1557万6000円 (右)COSC認定取得の永久カレンダーモデル、「L.U.C パーペチュアル ツイン」。18Kローズゴールドケース(エシカルゴールド)。ケース径43mm。自動巻き。30m防水。カーフスキンストラップ。826万1000円(共に税込み)
ルール・ドゥ・ディアマン
ルール・ドゥ・ディアマンの見どころの一つがケースサイド。ブリリアントカット・ダイヤモンドを留めるのは、連続的なフレームワークが美しいクラウンセッティングという技法。ダイヤモンドの裏側からも光をふんだんに取り込めるため一段とまばゆい輝きを放つ。6時位置にはひときわ高い台座に大粒のダイヤモンドをセット
ルール・ドゥ・ディアマン
ブレスレットの独特のテクスチャ―は、木々の樹皮から着想を得たというバルク・スタイルを採用。完全に手作業で施されるこのゴールド加工は、1960年代にショイフレ家が考案したもの。繊細でしなやかな見た目にたがわず、着用感も滑らか

こうしたジュエリー製造のクラフツマンシップに加え、このルール・ドゥ・ディアマンの内部には、ショパールが誇る小径、薄型の手巻きムーブメント、Chopard 10.01-Cを搭載する。リュクスなジュエリーの世界と本格機械式の世界を融合した、何ともハイエンドなモデルになっている。

そして、このルール・ドゥ・ディアマンに合わせる時計として男性向けに選んだのが、「L.U.C パーペチュアル ツイン」である。大型日付表示式の永久カレンダーを搭載した複雑時計で、ショパールがL.U.C ツイン テクノロジーと呼ぶ積載式2重香箱により、約65時間のパワーリザーブを有する。さらにCOSCによるクロノメーター認定を取得。実用的でありながら特別感もあり、自分への褒美としてふさわしいモデルである。

L.U.C パーペチュアル ツイン
内包するムーブメントはマイクロローター搭載の自動巻きキャリバー、L.U.C 96.22-L。ブリッジや地板にはコート・ド・ジュネーブやサーキュラーグレインといった伝統的な装飾が丁寧に施されている。この美しさもまたL.U.Cコレクションの醍醐味

ルール・ドゥ・ディアマンとL.U.Cという異なるコレクションでありながら、あるいはダイヤモンドと複雑機構という特色が異なるモデルでありながらもそこはかとなく通じ合うものを感じるのは、これみよがしな派手さがないためだ。あくまでもさりげなく控えめに、マイスターの熟練の技で普遍的な美を作る。ショパールの美学が上質を知る大人にふさわしいペアウォッチを成す。

問い合わせ情報

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ショパール ジャパン プレス
TEL:03‐5524‐8922


photograph:Kazuteru Takahashi
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