Editor's Note
スーツにおける「ナポリ仕立て」とは、ナポリに点在したサルト(仕立て職人)たちが、それぞれに競い合って築き上げた技術やデザインを指す。しかし、こうした技術を体系的にまとめ上げ、自社ブランドの既製服に落とし込んでいるブランドはそう多くはない。キートンは、そんなナポリ仕立てを具現化するブランドの最高クラスに君臨している。高い品質はブランドのステータスと同様、エグゼクティブのためのラグジュアリースーツでは、イタリアで5本の指に入るプレステージ性があるといっていいだろう。グローバルマーケットでの顧客年齢層は高めだが、若い人でも着られるシルエットと色柄生地のラインもリリースしており、日本の若い経営者にも愛用者は少なくない。
Brand History
7代にわたり生地商を営んできたチロ・パオーネが、脈々と受け継がれてきたナポリ仕立ての文化を継承するため立ち上げたテイラードファクトリーが原点。草創期にはチェザーレ・アットリーニ、エンリコ・イザイア、ルチアーノ・バルベラら、そうそうたるクラシコイタリア界の顔ぶれがここに在籍していた。最高級のエクスクルーシブファブリックと、伝統的な仕立て技術の組み合わせは、ナポリの既成服最高峰の名に恥じない圧倒的なクオリティーを誇るもの。手作業による工程を重視し、1着のジャケットは150もの工程を150人のサルト(仕立て職人)の手によって20時間かけて仕立てられる。