みなさんはすでに、かなりの数のネクタイをお持ちだと思います。でも、入社してからずっと、“何も考えずに使い続けていた”ものが多いのではありませんか? ご自身の年齢に応じて、ネクタイを見直すだけでも、印象はずいぶん、変わるものです。
今回は、30代、40代、50代以上と、年代ごとに「素敵に見える」ネクタイをご提案させていただきます。
30代におすすめするのは、ネイビーのレジメンタルと小紋タイ。レジメンタルという基本に戻りつつ、多くの20代が選びがちな、いわゆる“トラッドカラー”のタイとは少々異なる、シックでニュアンスのある色合いであることがポイントです。アグレッシブな印象は残しつつ、年齢相応の落ち着きと知性を感じさせてくれます。小紋タイは「老けて見える」と思い込んでいる方も多いのですが、実は品のよさと信頼感を与えてくれる柄。紺ベースを選べば、若々しい印象を損ねることはありません。
40代の方には、ちょっと「素材にこだわった」ネクタイを。おすすめするのは、織り柄の入ったシルクのソリッド(無地)タイと、ウールタイです。どちらも色目は非常にベーシックですが、素材に少しだけ「遊び」の要素を取り入れることで、若い世代との差をつけてはいかがでしょうか。ポイントは、柄と色はあくまでベーシックであること。やり過ぎは禁物です。特にウールタイは、明るい色目を選んでしまうと、悪目立ちしすぎてしまうので注意が必要です。
そして50代以上の方には、ロマンスグレー(白髪)に似合う、ダークグレーのソリッドタイと、とボルドーカラーのドットタイを。ダークグレーは黒ほどフォーマルな印象にならないうえに、とてもモダン。特に写真のダークグレーは茶系の色味を感じさせる、トレンドのカラー。知的な華やかさを備えた、女性好みの色です。そしてボルドーカラーのドットは、個人的には「ネクタイの基本」と言える1本だと思っています。顔映りがよく、顔色もよく見せてくれるので、是非、活用してみてください。
今回、推薦した6本のネクタイが「似合わない」方はほとんどいないはずです。あえて3つの年代に分けてご提案しましたが、もしもワードローブを一新させたいのであれば、カラーと柄を、この6本のバランスでお持ちになることをおすすめします。
つまり、全体の3分の1がレジメンタル、3分の1がソリッド、残りがドットを含めた小紋タイ。カラーはブルーベースを3分の2、残りがグレーとボルドーカラー。このバランスでお持ちになれば、ほとんどすべてのシーンに対応して幅広く使えると思います。
シャツはすでにお持ちの白とサックス、そして控えめなストライプで充分です。ビジネススタイルを変えたい時、奇をてらった、変わったものを購入する必要はありません。むしろ、ベーシックなもののほうがご自身の個性や魅力を引き立ててくれるものです。是非、お試しになってみてください。
styling:Midori Takahashi
assistant:Eri Koide
text:Maki Kasai
photograph:kuma*