ファッションディレクターの青柳光則さんに、ビジネスシーンにふさわしいエグゼクティブのスーツの着こなしを提案してもらう当特集。6回目は、高品質を貫く国産ブランドのD'URBANのスーツを取り上げる。
ネクタイを替えるだけで、食事会が華やかに
部会などの会食のセッティングを部下任せにせず、行きつけのレストランで開催すれば、上司としての株も上がるはず。若手の部下をワンランク上のレストランに集めて、いつもよりちょっと高めのワインをオーダーし、部下をねぎらってみてはどうだろう。そんな日は、少し華やかさのあるスーツで出社して、夜の席に備えたいものだ。
とはいえ、昼間はしっかりとビジネスエレガンスをたたえたスタイルをおさえておきたい。出社のときは水玉や小紋など、いかにもビジネスシーンにふさわしい柄のネクタイを締め、華やかさのあるペイズリーのネクタイを鞄に一本忍ばせて行く。夜の席に出かける前にネクタイを結び替えれば、若手の部下の目にはこなれた大人の振る舞いに映るはずだ。
そんなシチュエーションにぴったりなのが、ダーバンのネイビーストライプのスーツ。イタリアの高級生地メーカー、ロロ・ピアーナ社の「タスマニアン」を採用したもの。オーストラリアの南東部に位置するタスマニア島の名を冠したしなやかな生地は、同社でもっとも軽量なファブリックとして愛されているもの。
ストライプの色味に色気があり、端正なネイビースーツでありながら艶っぽさをもたたえている。同様に色気のあるペイズリータイとポケットチーフがスーツスタイルの色気を増してくれるので、会食の席も一際、華やかなものになるだろう。襟元をタイトに見せるタブカラーのシャツを合わせるのも、トレンドに敏感なエグゼテクティブを演出できる。気遣いのできる大人は、スーツ選びも巧みなものだ。仕事もお洒落もできる上司なら、社内の好感度は増すはずだ。
女性受けも良好な、上品な艶と大人の色気が漂うスーツ
1960年代に誕生した際「タスマニアン」は、その名の通りオーストラリア・タスマニア島で育ったメリノ羊の毛が使われていた。現在はオーストラリアの厳選されたウールを使用しているが、高度な技術と厳格な品質管理によって、軽量かつしなやかな仕上がりに。ダーバンは、最高級の素材を生み出すロロ・ピアーナ社にオリジナルのファブリックを別注。この色柄は、ダーバンとロロ・ピアーナ社とのエクスクルーシブ生地20周年のアニバーサリーモデルにあたる。
ペイズリー柄のタイは、クラシックな英国スタイルにおいては正統だが、華やかさが場にそぐわないときもある。そのため出社時はドット(水玉)や小紋柄のネクタイにして、会食前にネクタイを結び替えたい。ストライプが柄浮きしない、上品な印象のスーツだからこそ、正反対の趣をもつネクタイの柄を両方使い分けることができる。
ファッションディレクター青柳光則からワンポイントアドバイス
「ビジネスパーソンが仕事のあとに出かけるのに、一度帰宅して着替えてからというのは現実的じゃありません。仕事も会食も同じスーツなのは仕方のないことですから、どちらかのシーンに寄せたスーツを選ぶことになります。このスーツのように真面目なネイビ-に、薄くカラードストライプの入ったスーツは、仕事も会食もスマートにこなせる一着。昔の貴族は、仕事のとき、人に会うとき、食事のとき、食後にくつろぐとき、一日に何度も着替えたといいます。エグゼクティブなら、TPOにあわせて服を選ぶ習慣を身につけたいですし、アフターファイブには、ネクタイを替えるくらいの余裕を持ちたいものです」
styling : Mitsunori Aoyagi(Hamish)
photograph :Ryohei Watanabe
hair&make : Akira Nishihira
model:Kenji Kureyama(BARK IN STYLE)
edit&text : Yasuyuki Ikeda(zeroyon)