こんにちは。イメージングディレクターの高橋みどりです。

「時間」はすべての人に平等です。男女を問わず、誰でも同じように歳をとるもの。ただし、女性はメイクやヘアなど、加齢によるデメリットを上手にカバーできる手数を多く持っていますし、積極的に活用しようという自覚もあります。

一方で男性は、「10年前の自分との差」に気づいていらっしゃらない方も多いようです。これはとても残念なこと。なぜなら、女性と比べて男性には「年齢を重ねた魅力を武器にしやすい」というアドバンテージがあると私は思っているからです。

例えば、加齢の象徴である白髪を「渋さ」に感じ、シワを「知的」に捉え、体型の変化を「貫禄」や「威厳」に変える。ちょっと身なりを気遣うだけで、マイナス要素をプラスに変じていくことは簡単です。

そしてその手段として、とても簡単に活用できるのが、スカーフや帽子。年齢とともにくすみがちな肌色を、顔まわりに色を添えることでパッと明るく、溌剌と見せることが可能です。

特にロマンスグレーが魅力的な世代は、ピンクをはじめとしたパステル系がとてもよく似合います。これは年齢を重ねた男性だからこその“おしゃれの武器”と言えるのではないでしょうか。白髪染めを続けるよりも髪の健康を気遣って、艶のあるシルバーグレーにグレーのスーツ、パナマ帽とパステルカラーを感じさせるストールをして……こんなお洒落も素敵ですね。

ストローハット 5万7240円(ボルサリーノ/和光) ストール 2万4840円(ティノコズマ/和光) スーツ12万4200円(バーニーズ ニューヨーク/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター) 白シャツ 3万1320円(バルバ/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター) ネクタイ 1万6200円(WAKO/和光) ポケットに入れたベージュのハンカチ 390円(無印良品)

男性の夏の帽子といえばパナマ帽*。フォーマルからカジュアルまで幅広い着こなしに合わせられ、特に「スーツにパナマ帽」と言えば、お洒落な紳士の象徴ともいえるスタイルです。

そもそも現在のスーツスタイルは19世紀にイギリスで生まれた服装ですが、当時のイギリスではスーツには帽子をかぶるのがマナーだったのです。日本でも、私たちの父親世代くらいまでは、帽子は日常のものでした。

とはいえ、スーツに帽子を嗜む男性がほとんどいなくなってしまった今、帽子はなかなかハードルが高いアイテムのようです。特に白やベージュのパナマ帽は「目立つから恥ずかしい」とおっしゃる男性がほとんど。そこで入門編として、スーツと同系色の紺のストローハットはいかがでしょう。

黄みを帯びた日本人の肌に、紺は非常に馴染みのよい色。顔色をくすませないので、とてもおすすめです。

ただし帽子はコートと同様、基本的に屋内では着用しないのがマナー。取引先のオフィスが入っている建物に入る前など、必ず脱いでくださいね。

*パナマ帽……熱帯地方に生息する通称パナマ草を編んでつくられた帽子。白や生成り、ベージュが一般的。

ストローハット 3万8880円(ボルサリーノ/和光) ストール 1万9440円 スーツ12万4200円 ネクタイ 1万2960円(3点ともバーニーズ ニューヨーク/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター) 白シャツ 3万1320円(バルバ/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター)

「帽子だけが浮いて見える」、あるいは「帽子が目立ちすぎ」になることを防ぐ手段として、私は「帽子とストールをワンセットにして着用する」ことをおすすめしています。

「さらにアイテムを足したら余計にハードルが上がるのでは?」と意外に思われるかもしれませんが、頭とVゾーンに色が分散することでかえって帽子の存在感を薄めてくれるし、全体的なカラー配分も良いバランスになると思います。

ストローハット 5万7240円(ボルサリーノ/和光) ストール 3万2400円 (アリアンナ/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター) スーツ14万400円 サックスブルーのシャツ 2万520円 ネクタイ 1万2960円(3点ともバーニーズ ニューヨーク/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター)

コーディネートで迷ってしまうようなら、スカーフはネイビーやグレー、サックスブルーなど、スーツやシャツに馴染むベースカラーを選べば間違いがありません。特にコートを着用しない季節には、スーツ姿が少々物足りない印象になりがち。お洒落に見えるし、肌寒いときにも便利ですよ。

冬であれば、ネイビーやグレーの無地のカシミヤストールも素敵。顔まわりにカシミヤの艶感がプラスされるだけで、品のよい色気を感じさせる着こなしに。

ストールの巻き方は、ジャケットのVゾーンの内側に沿うように、ちらちらっと見えれば充分です。これ見よがしにする必要はありません。

styling:Midori Takahashi
assistant:Eri Koide
text:Maki Kasai
photograph:kuma*