ファッションディレクターの青柳光則さんは「ただいつも着ているスーツの上着を脱いで、ネクタイをはずすだけの間違えた着こなしが定着しては本末転倒」と指摘する。【夏のスタイル】と題して、青柳さんにお薦めのシャツを選んでもらった。
エグゼクティブは、夏でも長袖シャツが基本
日本では、夏に半袖のワイシャツを着ることが普通と思われているきらいがある。しかし、欧米のエグゼクティブ層は、半袖ワイシャツはカジュアルな場面のものとしてビジネスシーンでの着用は避けるものだ。長袖シャツとネクタイは、ビジネスエレガンスの基本コーディネート。夏でも長袖のワイシャツを着用して、よほどのときは腕まくりをするのがいいだろう。半袖シャツから素肌をのぞかせるよりもかえって清潔感があり、ずっとスマートな着こなしなのだ。ちなみにあるアンケート調査によれば、オフィスでの長袖の腕まくり姿は、女性からも好印象との結果もある。
クールビズが定着した昨今、長袖シャツにノーネクタイというのはビジネスカジュアルとして十分にありえるスタイルだ。そこで衿元に注目してシャツ選びのポイントをおさえていきたい。
ノーネクタイでも衿羽根が広がらない衿型の選び方
ネクタイをせず第一ボタンを外したときに、衿元がだらしなく開いてしまうようなワイシャツにビジネスエレガンスは望めない。ノーネクタイで着るワイシャツは、以下の3点に気をつけて選べば間違いない。
1. ワイドカラーなど衿羽根の開き角度の大きいものなら、横開きが少なく、衿元が安定する。
2. 第1ボタンから第2ボタンまでの距離を短くしているワイシャツを選ぶ。ボタンを開けたときに衿元が開き過ぎるのを防いでくれる。
3. クールビズで人気のボタンダウンカラーは、アメリカ式のショートポイントタイプではなく、イタリア式の衿羽根が長めできちんと弧を描くドレス型ボタンダウンを選ぶ。
オススメは、ドレス感を損ねないスナップダウン
ダーバンのスナップダウンカラーシャツは、衿の裏のスナップボタンで、ボタンダウンシャツのように衿羽根を身頃に留められるようになっている。これなら衿羽根が開くことがなく、外見はスマートなビジネススタイルをキープできる。タイドアップでもノータイでも、通年で着ることができるので使い勝手も良好だ。
速乾性・通気性に優れるメッシュ織りの素材を選ぶ
夏のワイシャツは汗を吸い、乾きやすい生地を選ぶだけで快適さが段違いに向上する。こちらはメッシュ状の「絡み(からみ)」織りのシャツだが、ほかに鹿の子やローン、ボイルといった織り地のものが適している。この後で触れるが、日本の夏のビジネススタイルにはアンダーウェアがマストなので、粗めの生地でも地肌が透けることを心配しなくともよいだろう。
夏でも長袖&腕まくりがエグゼクティブの基本
最初に述べたように、欧米では半袖シャツのビジネススタイルは好まれない。オフィスでは、長袖シャツ姿のほうが上品で好ましいのは誰もが納得するだろう。暑さを気にするのであれば、腕まくりを推奨したい。品格あるビジネススタイルを保ったまま、仕事に熱中する姿をアピールする絶好の機会となるはずだ。ここでちょっとしたコツを一つ。腕まくりをするときは、袖を通してからまくるのではなく、先にまくっておいてから着るほうが、形が決まりやすいので覚えておきたい。
いつまでも汗に濡れたままのシャツを着ているのは、本人も周りの人も不快なもの。それを解消するには機能的なアンダーウェアを着ることだ。
各社からリリースされている、汗を吸い、すばやく乾燥させる機能性アンダーウェアだが、できるだけ身体にフィットするタイプのほうがいい。Tシャツは吸汗速乾に用をなさないし、ごわついて不快なもの。その点、ぴったりフィットするシークは衣服内を快適に保つのに役立つ上に、シャツ姿もすっきりスマートだ。透けないようにベージュを選ぶのが望ましいが、会社帰りにジムに立ち寄るなど、ベージュのアンダーが恥ずかしい人向きには白や黒、ネイビーなどカラーバリエーションも豊富に用意されている。
問い合わせ情報
▼ジャケット、シャツ、パンツ
ダーバン(レナウン プレスポート TEL:03-4521-8190)
▼アンダーウェア
シーク(グンゼ TEL:0120-167874)
styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
edit & text:Yasuyuki Ikeda(Zeroyon)
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)