スマートさとエレガンスを一挙両得

紳士のスーチングに欠かせないベルトだが、数あるビジネスアクセサリーの中でも光が当たりにくい小物のひとつと言えるかもしれない。スーツ姿におけるベルトは、ジャケットを羽織るだけに外から見える部分が少なく、アピールの場として意識する人は少ない。ゆえにスラックスの位置を固定する実用的な道具としての意味合いも強い。しかし、ジャケットの後ろ襟からシャツの上襟を見せるように、袖口からシャツを覗かせるように、スーチングの終端にベルトがなければ画竜点睛を欠いてしまうのである。さらに、人目のつきにくい場所だからこそ、そこにきらりと光る個性が、紳士の紳士たるゆえんを物語る。

そこで薦めたいのが、数多存在するベルトの中でも出色の出来と言える、実用性と装飾性を兼ね備えた、ルイ・ヴィトンの「サンチュール・ボストン 35MM」。シンプルなブラック無地と、アイコンの一つとも言える“ダミエ・パターン”が配された一本は、リバーシブルで使用できるようになっており、謙虚さと華やかさを文字通り“表裏一体”で併せもつ。バックルを回転させることで、容易に表裏に交換できるので、オンタイムは無地のスムースレザーで主張を控え、仕事終わりには“ダミエ・アンフィニ レザー”の面でエレガンスを演出。そんな粋な使い方ができる。

二面性があるほど人物に深みが増し、ミステリアスに映る。異性から関心を寄せられることも少なくない。“ギャップ”が男の余裕を生むのだ。まさにそれを体現したベルトであることを記しておきたい。

ミニマムな角フレームで尾錠留めのピンバックル。ベルト通しに穿たれたルイ・ヴィトンのレタリングが控えめながら存在感を放つ
同じブラックでも表と裏で印象が180度異なる。35ミリ幅というのも、オンからオフまで使える汎用性の高い太さと言える
上質な牛革にエンボス加工を施すことでレザーに起伏を生み出し、その高低差によって“ダミエ・パターン”を生み出している
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TEL:0120-00-1854

text: Masato Nachi
photograph: Kazuya Aoki
styling: Yoshiki Araki