表情豊かなイントレチャートが品格を伝える
ビジネスシーンにおいて、接待や食事会などの会計時に財布を取り出す場面は多いが、相手の視線が手元にいくその瞬間、意識せずとも持っている財布であなたの人となりを推し量っていることに留意しておきたい。いい財布ほど、お金を大事に扱っていることを示す証左となる。そこで選ぶべきは何か。さり気なく個性を出せて、所有する喜びを味わえるもの。思い当たるものがひとつある。それは、ボッテガ・ヴェネタのレザーウオレット。
この編み込みの意匠“イントレチャート”を知る人も多いだろう。ブランドの代名詞ともいえるイントレチャートは複雑な陰影で豊かな表情を生み出し、ラグジュアリーな趣を見せる。イタリアの伝統工芸を最高品質の職人技に高め、世に広めたパイオニアとしての矜持と熟練の技術では他の追随を許さない。
まず特筆すべきは、最高品質のカーフレザー。キメの細かさはさることながら、手にもったときのしなやかさは極上で、赤子の肌のような瑞々しさと柔らかさを伝える。そして、何と言ってもイントレチャート。1枚のベースとなる革に複数の正確な切り込みを入れ、フェットゥーチェと呼ばれるリボン状のレザーを、切り込みのひとつひとつに手作業で編み込んで作られている。デザインとしても優れているが、実用的な意味においても、屈曲性が良いために開きやすく、お金やカードのスマートな出し入れが可能だ。
最上級の革を使ったイントレチャートの気どりのない美しさは、持つ人の品位を高めてくれる。支払いを行う場面でバッグやポケットから取り出した瞬間、クライアントや部下からビジネスパーソンとして一目置かれることは想像に難くない。
text:Masato Nachi
photograph:Kazuya Aoki
styling:Yoshiki Araki