まずは「出張ワードローブの基本」をお教えします
こんにちは。イメージングディレクターの高橋みどりです。
「出張に必要な服の選び方」は、男性からよくご質問いただくテーマのひとつです。私自身もとても出張が多いので、パッキングを含めた旅の準備はもはや日常のルーティーンのひとつですが、多くの男性にとっては「とても面倒なこと」のようですね。
でも、基本さえ押さえてしまえば、実は意外と簡単なんですよ。
まず、出張に便利なアイテムの条件は、この3つです。
・シワになりにくい
・長時間の移動も快適なストレッチ素材
・着回しが効く
そして、出張のシーンとして考えられるのは、
・仕事の打ち合わせ等、オンのシーン
・移動等、オフのシーン
・食事等、スーツを着る程ではないけれど、きちんとした印象を与えたいシーン
こんなTPOを踏まえて、今回ご用意したアイテムは下記の11点です。これらすべてを買い揃える必要があるわけではありません。ご自分がすでにお持ちのアイテムとつき合わせて、足りないものから順に買い足していけばいいと思います。そのチェックリストとしても活用してください。
A. ネイビージャケット
B. ネイビーパンツ
C. グレージャケット
D. グレーパンツ
E. サックスブルーシャツ
F. ネクタイ
G. ネイビータートルニット
H. フード付ジップアップパーカ
I. カットソー
J. 黒サイドゴアブーツ
K. 茶サイドゴアブーツ
●出張コーディネート(1)[A+H+I+D]の組み合わせ
ジャケットの中にも着られるパーカは、幅広い着こなしが楽しめるので1枚あると便利。移動の際には、こんなリラックスした装いで。ボトムをデニムに替えてもよいだろう
●出張コーディネート(2)[A+E+F+B+J]の組み合わせ
スーツ、シャツともにストレッチ素材とは思えない程のクオリティ。仕事先への訪問時にも問題なく使えます。シワになりにくく出張の強い味方になるはず
●出張コーディネート(3)[C+G+B+Kの組み合わせ]の組み合わせ
ちょっとした食事の席にはハイゲージのニットでまとめるのも大人スタイル。かしこまり過ぎない服装なら、相手との距離を縮められるはず
出張用のワードローブを考える際、一番ポイントとなるのは、ベーシックカラーを中心に「少ない色数」に抑えることです。今回は白・ネイビー・グレーのアイテムに絞りました。私自身も出張の際は、この3色にブラウンを加えるくらい。
こうすることで、オンでもオフでも移動中でも、組み合わせは自由自在。着回しが効くうえに、コーディネートがすっきりまとまります。
言い方を変えれば、「あれこれと余計なものを持っていかない」のが基本です。
スーツは「上下別々の単品」として使えるものを
出張でもっとも大切なシーンは、いうまでもなくビジネスの場面です。
今回ご紹介したAとB、CとDは別売りの単品ですが、スーツとしても、もちろん単品としても着回し可能な、とても便利なアイテムです。
正直な話、以前のストレッチ素材は「見た目のクオリティが今ひとつ……」なものも多かったのですが、今では機能性と見た目の美しさを兼ね備えた、一見ストレッチとはわからない、優秀なものが増えています。出張の際には、こうした高機能素材を積極的に取り入れるのもひとつの方法だと思います。
上記のリストにシャツを日数分足すことで、一週間くらいの出張には充分対応できるのではないでしょうか。サックスブルーのシャツも、実はストレッチ素材です。
移動の際に着用しても快適で、何よりシワになりにくいところが嬉しいですね。たとえシワになっても、浴槽にお湯を張ったバスルームに掛けておけば、ひと晩で元に戻ります。
ストレッチ素材のアイテムをシャープに着こなすためには、正しいサイズ感がとても大切。試着の際のサイズ選びは慎重になさってくださいね。
足元には、黒か茶、もしくは両方の、サイドゴアブーツが便利です。パンツから覗く靴先はプレーントゥと変わりませんし、移動の際のカジュアルスタイルにもよく似合います。ビブラムソールなら、天候を気にせず履けますね。
出張はワードローブを見直す絶好のチャンス
出張の準備として、「必要なアイテムを揃えるだけでも面倒臭い」とおっしゃる男性は多いのですが、出張中って「誰に」「いつ」「どんな要件で」お目にかかるのか、スケジュールがはっきりしていることが多くありませんか?「想定外」の予定が入ることが普段より少ない分、むしろコーディネートは決めやすいのではないでしょうか。
スーツケースに入る洋服は数に限りがあるので、まずは絶対に必要なアイテム、不要なアイテムがはっきりしますし、「接待の席があるから、華やかなネクタイは1本必要」など、コーディネートの目的もはっきりと自覚できます。
クローゼットを前に、どのコーディネートが「自分にとって自信が持てるもの」なのか、どのネクタイが「必ず持っていきたくなるもの」なのか、具体的に把握できるのではないでしょうか。
つまり、出張のワードローブを確立できれば、普段のご自分に「本当に必要なもの」がわかるようになるのです。そうすれば買い物の失敗も格段に少なくなって、おそらく無駄な買い物も減るのでは?
「出張ワードローブの準備」は、ご自分の手持ちの服を見直し、TPOを考えた「着こなしのレッスン」です。
面倒に思われるかもしれませんが、「出張に行かなくてはいけない」ことに変わりはないのですから、ぜひ、今後に活きる「学びの機会」として、捉えてみてはいかがでしょう。
こうした「発想の転換」ができる人こそ、私自身は「仕事のできる人」だと思います。
問い合わせ情報
バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター
TEL:0120‐137‐007
エストネーション
TEL:0120‐503‐971
styling:Midori Takahashi
assistant:Eri Koide
text:Maki Kasai
photograph:kuma*