身長が高くない男性のなかには「そもそもコートは着丈が長いので自分には似合わない」と思い込んでいる人が意外に多いという。しかしコートというアイテムは、そういった人こそ活用すべきもの。というのもコートは着るだけで自然に縦長シルエットとなるため、スラッとスマートに見せる視覚効果あるのだ。コート企画の第四弾となる今回は、そんな羽織るだけで“スラッと効果”が期待できる、技ありコートの選び方を指南する。
鉄則その1 ショート丈のコートを選ぶ
膝下丈などロングレングスのコートは、それなりに上背のある人を基準に設計されており、背が低い人が着用すると、バランスが悪くなってしまうこともある。だからといってスーツに短丈ブルゾンの合わせでは、ビジネススタイルとは別方向のスポーティなルックスになりがちだ。そこでお薦めしたいのがショート丈のコートだ。
コートならではの縦長シルエットに加え、脚を隠さないことによってスラリと美脚を強調してくれて、自然とスマートに見えるもの。具体的な着丈は、中に着たジャケットの裾が隠れて、コートの裾がヒップのやや下辺に届くくらいの長さがベスト。それをひとつの目安に選んでみてほしい。
馬具に由来する英国のキルティングジャケット LAVENHAM(ラベンハム)
英国王室の馬用ブランケットに始まるラベンハムのキルティングアウター。写真の新作は原毛からネイビーに染めあげたトップ糸による、味わい深いウール素材を採用。アームホールや身幅を現代的にアレンジしており、スーツの上から羽織っても快適かつスマートに見えるフィットを作りだしている。
中綿入りのキルティング素材はダウンにも似た温かさが味わえる。それでいながらシックなスーツスタイルにもマッチするよう、ボリュームは控えめゆえ、トラッドな雰囲気を醸すところがポイントだ。
オーダーメイドでジャストサイズ AZABU TAILOR(麻布テーラー)
スーツをはじめジャケットやコートが注文できる、オーダーメイドのショップとして人気の麻布テーラー。今季は特にコートのオーダーが増えているという。写真の一着は起毛感がリッチな厚手ウール素材による着丈の長いピーコートモデル。個性的なショールカラーなどもチョイスが可能だ。オーダーゆえに身幅のフィット感は当然のこと、着丈の長さも自由にリクエストできる。
後ろ身頃だけに取り付けるバックベルトも好みで加えることが可能。バックベルトをつけることで後ろ姿にドレッシーなメリハリが生みだせる。
鉄則その2 ベルト付きのコートを選ぶ
無地のコートが持つ縦長効果は場合によっては地味でシンプルすぎる印象にもなりうる。多くの人は気にならないものの、背丈にコンプレックスがある人などは、その間延び感をネガティブに捉えてしまうことも。そこで試したいのが腰ベルト付きのモデルだ。腰位置を高く見せることができるので脚長かつ下半身がすらりと見える。メリハリを付けてスタイルよく見せられるならコートスタイルを恐れる必要はない。
機能的でしかも美的な高級イタリア生地を使用 D'URBAN(ダーバン)
イタリアのロロ・ピアーナ社は、高級生地の代名詞的ブランド。ダーバンは同社製の高級かつしなやかなタスマニアン・クオリティのウール生地を用いた「グリーン ストームシステム」のベルト付きステンカラーコートをリリース。この生地はsuper 120'sとハイエンドなウール特有のエレガントな素材感が味わえることが最大の特徴だが、透湿、防風、撥水の機能を備えている。実用性は高く、後述するが防寒性も優秀だ。
腰ベルトを締める際は、バックルに通して使うと少し仰々しくなってしまう。あえて無造作に、センターをずらして縛るくらいがさりげなく見せるコツ。
特別なインポート素材であることを示すタグ。ロロ・ピアーナ社の「タスマニアン・クオリティ」の生地は、ダーバンのみのエクスクルーシブ素材。また「グリーン ストームシステム」は、表地の裏に特殊シートをラミネートし透湿及び防風機能を持たせた生地の名称だ。
コート素材も特別製だが内側にもこだわりが込められている。コートの内部には脱着式の中綿ライナーを搭載。優れた保温性を発揮するため、真冬でも問題なく着用できる。
高密度ギャバジンが描く颯爽とした張り感 MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)
英国のコートブランドの実力派として、多大な人気を誇るマッキントッシュ ロンドン。コートの定番素材であるギャバジンも特別な高密度生地を用い、シルクのような光沢と優れた耐水性を両立させた新定番を作りだしている。写真の一着はクラシカルなダブルブレスト。肩周りをコンパクトに仕立てており、すっきりモダンに着こなせる。脱着式のウールライナーも付属する。
こちらのモデルも腰ベルトはバックル付き。しかし写真のようにざっくばらんに結んで着用するのが今の気分だ。あえて形は整えず、あくまで無造作に結ぶ感じが理想的だ。
ギャバジン素材といえば、1インチあたりに約260本の糸を打ち込むのが一般的。しかしこの一着の生地は330本を打ち込んだ超高密度ギャバジン。美しいシルエットを自然に描く、独特の張り感と機能性がポイントだ。
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