頭取らしい装いとは

ビジネスシーンでは、スーツは役割の一つだと考えています。お客様の期待感から逸脱するのはよくありません。私は銀行の頭取ですから、その役割にふさわしいスーツを選んでいるつもりです。選ぶポイントは清潔感と周囲に与える安定感。普段身に着けているのは「スキャバル」のオーダーで、チャコールかブルーのストライプ系が多いですね。

今日着用しているチャコールのチェック柄は私としては珍しい色柄です。昨年末に自分で生地サンプルを見て、ピンときませんでしたが、家内が「これ素敵じゃない」と推したので仕立ててみたのです。出来上がってみると思った以上にシックで、とても気に入りましたね。

清潔感、安定感は私だけでなく行員全員に求められている要件だと考えています。クールビズであっても、たとえばサンダル履きだったり、お客様がいらっしゃるのにその前を上着なしでゾロゾロ歩いたりするのは行員としては軽率に感じますね。

スーツはスキャバルのオーダー。好みや要望を知り尽くしているテーラーから、シーズンごとにお薦めの生地を見せてもらい、まとめて作る。色柄はおとなしくても、上質な質感を感じさせるのはさすがの一言

一番のPRは評判

個人的には、スーツで自分らしさを演出するのもいいですが、そのエネルギーをビジネスそのものに注ぎたい。だからスーツは「個性」よりも「調和」を重視します。また、仕事に集中するためには、なぜ働いているのか、人生の目的は何かという根本を確立することも大切。働く目的が社内で共有されると組織として、すごい力が発揮できるからです。

今期、私たちが注力しているテーマは、東京スター銀行の評判を上げることです。評判がよければ自ら当行をことさらPRしなくても、お客様からお客様へと評判は広がります。収益もついてきます。そのためにも行員一人ひとりがお客様の役に立たなければいけません。

仕事のモチベーションには「報酬」「出世」「成長機会」「人の役に立つ」の4つがあると思います。3つまでは、量が増えると満足度が頭打ちになる限界効用逓減の法則が成り立ちます。実際、報酬や昇進はある程度までで満足する人が多いのではないでしょうか。成長も限度があります。

ところが、人の役に立つことだけは限界がない。1人目のお客様からの「ありがとう」も、10人目のお客様からの「ありがとう」も、その価値は変わりません。人の役に立ちたいという思いは仕事を続ける一番のモチベーションです。

愛用の逸品~モンブランの短いボールペン

大和証券SMBCで執行役員になったときに、親しい先輩から贈られたボールペンです。書きやすいうえに、普通より少し短めのサイズが持ちやすくて手放せません。小さくてなくしそうですが、そんなこともなく、かれこれ15年近く使っています。これをプレゼントしてくれた先輩は、私が当行の頭取になるきっかけをつくってくれた人でもあります。

佐藤誠治/Seiji Sato
東京スター銀行頭取CEO
1982年早稲田大学政治経済学部卒業後、東京貿易(現東京貿易ホールディングス)入社。89年三井銀行(現三井住友銀行)入行。バンコック支店長などを経て2013年常務執行役員。15年三井倉庫ホールディングス取締役。16年東京スター銀行副頭取。17年より現職。

text:Top Communication
photograph:Tadashi Aizawa
make & hair:RINO