伊勢丹新宿店メンズ館のスタイリスト(スタッフ)も日々、それぞれの個性に合わせ、感性で選んだ渾身のVゾーンメイクをしている。それを紹介する「Vゾーンの流儀」は、ISETAN MEN'S netで連載している人気企画だ。4月からは同企画とコラボし「V‐STYLE」として、VゾーンメイクのテクニックをPRESIDENT STYLEで毎週更新していくので、お楽しみに。
着る人の繊細さが随所に表れている小技使い
見るからに柔らかそうな仕立てのスーツだ。かつては硬くハリのある本バス毛芯を前身頃全面に使ったフルキャンバス仕立てのスーツが主流だったことを思うと時代は変わったものだ。パッチポケットの口が丸く曲線を描いていたり、フロントカットが「ハ」の字にしつらえてあるところも「普通のネイビースーツなのに、なにか違う」と思わせるポイント。ここに硬い衿羽根のシャツや、分厚いシルク地のネクタイは似合わない。小衿のシャツに芯無しのセッテピエゲのネクタイを翻らせることで全体が柔らかい印象に。ポケットチーフにもブルーを挿しているが、よく見ると眼鏡のフレームもブルーだ。細かいところにまで気を遣う、田代さんの繊細さをさりげなく主張している。
text:Zeroyon Lab.
photograph:Yuko Sugimoto