パンツ専門職人・尾作隼人さんが監修
銀座の老舗で修行し、日本人として初めて「パンタロナイオ」の肩書とともに独立を果たした尾作隼人さん。「パンタロナイオ」とは、イタリア語でパンツの仕立て職人のことを意味する。ビスポークスーツを仕立てる際、パンツはジャケットを仕立てるテーラーとは別に専門職に依頼するのだ。尾作さんは専門職人として、採寸から生地の裁断、縫製までをすべてひとりで行っている。神奈川県川崎市にある自身の工房で、型紙から起こすフルオーダーのパンツを受注しているのだが、同時に自身の名を冠した「メイド・トゥ・メジャー」を銀座三越で展開しており、こちらではより手軽に尾作さんの技術を味わうことができる。そのうえ価格もフルオーダーより抑えめ。銀座という場所柄、休日や会社帰りなどに立ち寄ってオーダーすることができる点も使い勝手がいい。
メイド・トゥ・メジャーって、なんだ?
「メイド・トゥ・メジャー」とは、一般的にパターンオーダーと呼ばれる仕立て方式のこと。あらかじめ用意された型紙を微調整し、好みの生地で一着ずつ仕立てるオーダースタイルは、採寸により一から型紙を起こすよりも手間が省けることから価格を抑えることができる。既製品から各部を修正するより調整可能な箇所も多く、着る人の体に合った確かなフィッティングを手に入れることができるものだ。
尾作さんの仕立てるパンツが、メディアで取り上げられるようになったのはここ10年ほど。当時はまだパンツ専門の仕立て職人は日本で知られておらず、「パンタロナイオ」という職業も浸透していなかった。にも関わらずメディアやSNSを通じて話題を呼び、いまや日本国内のみならず海外からもお声が掛かるほどに。
そのパンツの特徴は、手間のかかる工程を経て、太もも裏と膝裏、ふくらはぎに沿うようにM字にカーブさせた足筒のシルエットにある。「メイド・トゥ・メジャー」では、このパターンを踏襲して、尾作さんが信頼を寄せるファクトリーで縫製されている。フルオーダーより手軽に誰もが、自然な履き心地と美しいシルエットを手に入れることができるようになっているのである。
店頭でゲージサンプルをはいて採寸
「パンタロナイオ オサク ハヤト」のメイド・トゥ・メジャーは、店頭でゲージサンプルをはいて採寸する。パターンオーダーのスーツを仕立てる際に、用意されたジャケットサイズから、自分の体型に近いものを選んで羽織るのと同じプロセスだ。その際、丈の調整などが合わせる靴によって微妙に異なるため、ビジネス用にオーダーするなら会社にはいていく靴で臨みたい。最近はボトムスのシルエットは短めの丈が流行だが、クールビズではあまり短すぎず、靴の甲に裾が触れるぐらいの長さをキープするのが良いだろう。
モデルと好みの生地を選んでオーダー
体型や好みのスタイルによって、用意されているモデルは「クラシック」「スリム」「キングサイズ」の3種類。それぞれプリーツの有無を選ぶことができる(クラシックはノープリーツまたはツープリーツのみ)。生地は一流のブランド生地から選ぶことができるが、特にお薦めしたいのは尾作さんが日本の葛利毛織と共同開発したオリジナル生地。どれもビジネス使いがしやすい色柄を中心に、織りや素材感で個性を放つコレクションになっている。クールビズにはもちろん、秋冬はジャケット&パンツのビズスタイルにも相応しいだろう。ちなみにカジュアルパンツもオーダー可能で、休日などオフシーンに合わせたいチノパンやデニムパンツも注文できる。
気軽に選べる既製品も多彩に用意されている
メイド・トゥ・メジャーは注文から仕上がりまで、約6週間。もっと早く「パンタロナイオ オサク ハヤト」が履きたいという人には、既製品も用意されている。こちらは丈やウエストの出し詰めも可能で、仕上がりは通常のパンツのお直しに準じる。グレーやブルーのトーンも濃淡様々。この清涼感あふれるカラーバリエーションのラインナップを見れば、どれもビズスタイルで履くことができるオフィスエレガンスの範疇にあることが分かるだろう。
今季再登場した「m039」にも注目!
一時ブランドを休止していた、尾作隼人さん監修の既製品ライン「m039」が、今季からコレクションを再開。以前のモデルをアップデートするため副資材から見直し、「パンタロナイオ オサク ハヤト」よりリーズナブルな価格と、腰裏にかつて尾作さんがビスポークパンツで採用していたギンガムチェックの生地を使うなど、こだわりの仕様となっている。尾作さんのこだわりパンツの入門編として活用してみたい。
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text:Zeroyon Lab.
photograph:Yuko Sugimoto