以上の観点から本メディアでは、出張を快適にこなすためには“3バッグ体制”こそが合理的とする立場をとってきた。大量運搬に適した「トロリー」。個別収納や携帯性に優れた「ブリーフケース」。それにオフタイムをスマートにフォローする「多目的バッグ」。この3点を揃えて活用することで、出張のあらゆるシーンでも無駄なく円滑に進めることができるのだ。さらに理想とするのが、その3点の鞄がチグハグでなく、社会人としての統一感を備えたセットであること。そこで機能性バッグの実力派ブランドから、昨今の出張事情に適した3点を選び出して提案する。

第2回は、イタリアのエレガントなデザインと使い勝手を追求した「ブリックス」の新作にフォーカスする。

イタリアの伝統と現代的なセンスの融合

仕事用鞄は四角四面なビジネス調であるべき、という時代はとうに過ぎ去った。昨今はカラーを取り入れつつ多彩なデザインで味付けされたビジネスバッグが、多くリリースされている。例えばジャケット&パンツのように砕けたスタイルで出張に赴くのであれば、それにマッチした鞄を用意するのが今日的だ。とは言え、出張はあくまでバカンスとは異なるもの。大人の品格をきちんと備えたデザインであることが肝心だ。

そう考えたときにイタリア伝統のバッグブランドは、実にそのあたりのセンスに長けていることが分かる。なかでも1952年創業の「ブリックス」は、知る人ぞ知るトラベルバッグの名門。ポリカーボネイトを採用したトロリーも、軽量かつ機能的でありながら、クラシックなトランクのごとき革ベルトをあしらった、味わいあるデザインを早くから打ち出している。ブラックのブリーフもモードブランドが多用するサフィアーノレザー(織物風の押し型革)を採用するなど、シックにして華やかな雰囲気も込めている。これらのアイテムはビジネスのみならず、オフのシーンと併用しやすいところに大きな特色がある。

適度に残したクラシカルな味わいが魅力

キャリーケース「ベラージオ 89014」(縦55×横39×マチ24cm)8万6000円(税別)

高級リゾート地として名高いイタリア、コモ湖畔。その中心エリアの名を関した「ベラージオ」は、先進のポリカーボネイトを使用した機能的かつラグジュアリーなトロリーシリーズだ。走行性に優れるダブルホイールには、高精度のベアリングを搭載するなど現代的なテクノロジーを注ぎ込みつつ、本体にはトスカーナ産レザーをリベットで打ち付けるなど、クラシカルな味わいを随所に残しているところがポイント。TSAロックを擁した開閉部分には止水ファスナーを仕込むなど、スキのないスペックも特筆すべき部分だ。写真のブルーに加えオリーブやクリームなど、全5色という豊富なカラー展開も、カジュアル化がすすむ現代のビジネススタイルとマッチしやすい。

仕切り部分のポケットは、資料やノート、マップなど冊子類の収納になにかと便利だ

荷室内部の両サイドにはそれぞれ仕切りを設けており、個別収納に対応する設計。またその仕切り自体にもジップポケットを内蔵。小物整理に関しても細かく配慮されている。

ほのかに漂う欧州のエレガンスが持ち味

ブリーフケース「バレーゼ 89084」(縦28×横37×マチ7cm)7万2000円(税別)

「ブリックス」の「バレーゼ」コレクションに属するブリーフケースは、ビジネス用でありながら上品なエレガンスを感じさせる逸品。繊細な押し型が特徴のサフィアーノレザーを使用しており、高級感ある光沢と撥水性、そして傷がつきにくい特性を備えている。内部にはPC収納に適したポケットに加え、書類や小物用のポケットが配されている。本体背面に取り付けられたジップポケットは、必要に応じてトロリーハンドルに通すスリーブにも変化。その他、脱着式のショルダーストラップも付属する。

ノートPCとタブレットの2台を収納可能。両室とも緩衝材パッド仕様

内装はシックなヘリンボーン素材とレザーのコンビで高級感ある仕上がり。クッション内蔵のPCポケットはストラップで固定できる堅実な設計。

身体にフィットする薄マチ仕立て

ショルダーバッグ「バレーゼ 89083」(縦27×横23×マチ5cm)5万円(税別)

上掲のブリーフケースと同じ「バレーゼ」コレクションに属するミニショルダー。ブリーフケースと同様にサフィアーノレザーを使用しており、耐傷性に加え撥水機能を兼備する。絞り込んだ薄マチ型はボディにフィットするため非常に動きやすい。本体荷室の他、外側正面にジップポケットを、外側裏面にはスリップポケットを備えている。

上部にはキーホルダーが。バッグの中で行方不明になりがちなアイテムだけに便利な付属機能だ

薄マチながら開口部が大きく開くため底の方の内容物も非常に取りだしやすい。内装はブリーフケースと同じシックな印象のヘリンボーン素材。

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ブリックス

styling:Mariko Kawada
edit & text:Zeroyon Lab.
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)