以上の観点から本誌は、出張を快適にこなすためには“3バッグ体制”こそが合理的とする立場をとってきた。大量運搬に適した「トロリー」。個別収納や携帯性に優れた「ブリーフケース」。それにオフタイムをスマートにフォローする「多目的バッグ」。この3点を揃えて活用することで、出張のあらゆるシーンも無駄なく円滑に進めることができるのだ。さらに理想となるのが、その3点の鞄がチグハグでなく、社会人としての統一感を備えたセットであること。そこで機能性バッグの実力派ブランドから、昨今の出張事情に適した3点を選び出して提案する。

第3回は、英国において120余年の歴史を誇る「グローブ・トロッター」の最新モデルにフォーカス。

込められているのは英国の伝統と革新

“寄らば大樹の陰”という言葉があるが、信頼できる確かなものを所有している事実は、心に安定をもたらす効果がある。移ろいやすい現世において100年以上続いてきたモノやコトは、それだけで真理に通じるエッセンスを多分に含んでいるといえるだろう。

老舗の定番が広く支持を得ているのは、確実な買い物を願う人が多いことの表れでもあるからだ。まさに英国の「グローブ・トロッター」こそは、“大樹”として世界に知られる名門ラゲッジブランド。特に120年を超えて作られてきたヴァルカン・ファイバーの定番のトラベルケースは、信頼性を具現化した傑作中の傑作だ。

もちろん信頼性だけが同ブランドのすべてではない。今季発表された「エアロ」は、「グローブ・トロッター」のエッジを詰め込んだ革新的な話題作。一見、シックにしてクラシカルだが、本体に特殊カーボンを採用しており、画期的な軽さと耐衝撃性を特長としている。つまりトラッドかつ最先端であり機能性や所有する喜びまでフル装備。すべてに欲張りな男子を納得させるモノ作りは、まさにグローブ・トロッターの本質なのである。

宇宙工学から生まれた特殊カーボンを使用

トロリーケース「エアロ4 キャビンケース(4輪)」(縦55×横39×マチ17.5cm)28万8000円(税別)

「グローブ・トロッター」の定番素材であるヴァルカン・ファイバーはヴィクトリア時代の先端素材。実に創業120余年を経た今季、新たな革新的素材を投入したトラベルケースが発表された。人工衛星やロケットなどに使用されるカーボン・ファイバー・コンポジットは、特許申請中のハイテク素材であり、一般的な樹脂素材とは一線を画す強度と高弾力性を特徴とする。またブランド初となる4輪ホイールを足下に備えており、スムーズに移動できるところも見逃せない。

ポケットなど一切ない設計は、旅慣れたジェットセッターから使いやすいと評判

同ブランド定番のトラベルケース同様、内部は荷物が自由に収納できる仕切りのないワンボックス型。ただし壁面にはクッションキルティングを張り込んだ仕上げを採用。

天然木の触感がラグジュアリーな気分

「グローブ・トロッター」のなかでもビジネスエグゼクティブ向けシリーズである「エアロ」。英国の高級品らしくトロリーのグリップには天然ウッドを使用。その中央にはロゴを刻むなど仕上げも実に念入り。

英国的な質実剛健美が宿る

ブリーフケース「センテナリー」(縦30×横40×マチ7cm)17万1000円(税別)

英国的な気品溢れるグレインブルレザーを使用した「センテナリー」シリーズにおける人気のブリーフケース。シックなソリッドカラーではあるが、本体コーナーをレザーに替えており、同ブランドのトラベルケースを思わせる個性的なデザイン。フルサイズのブリーフ型にして比較的薄マチのため、スタイリッシュに持てるところもポイント。パッド付きの脱着式ショルダーストラップが付属する。

薄マチだが、ノートPCやタブレットの収納ポケットはしっかり備わっている

スタイリッシュな薄型ながら、内側には多彩なポケットを装備。PCポケットもついている。

従来の革鞄とは一線を画す機能性

メッセンジャーバッグ「センテナリー」(縦23×横32.5×マチ8cm)15万7000円(税別)

こちらもブリーフケースと同様、ブランド100周年を記念しリリースされた「センテナリー」シリーズに属するメッセンジャーバッグ。旅に欠かせない「丈夫」「軽量」「長持ち」「ハンズフリー」といった、優れた機能性がポイントだ。書類を含め15インチまでのPCやタブレット機器の収納が可能。本体内側に2つのポケットを、外側にもジップポケットを装備する。

表は柔らかな質感のブライドルレザー、ライニングにはスウェード生地を使用

上部のフラップを開けると現われるメインの荷室。仕切りを設けていないこともあり、荷物の出し入れは実に容易。内部前後の壁面にはそれぞれポケットがひとつずつ設けられており、小物も個別に収納できる。

問い合わせ情報

問い合わせ情報

グローブ・トロッター 銀座
TEL:03-6161-1897

styling:Mariko Kawada
edit & text:Zeroyon Lab.
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)