以上の観点から本メディアは、出張を快適にこなすためには“3バッグ体制”こそが合理的とする立場をとってきた。大量運搬に適した「トロリー」。個別収納や携帯性に優れた「ブリーフケース」。それにオフタイムをスマートにフォローする「多目的バッグ」。この3点を揃えて活用することで、出張のあらゆるシーンも無駄なく円滑に進めることができるのだ。さらに理想となるのが、その3点の鞄がチグハグでなく、社会人としての統一感を備えたセットであること。そこで機能性バッグの実力派ブランドから、昨今の出張事情に適した3点を選び出して提案する。
最終回は、アポロ11号に積み込まれたトランクを手掛けたブランドとしても著名な、米国の「ゼロハリバートン」を紹介する。
堅実さに加えて、所有欲も刺激する
「ゼロハリバートン」という、その語感から漂うのは、あらゆる障害に屈しないタフネスさ。同ブランドの象徴であるメタルトランクが放つ堅固なインパクトが、そのイメージの源泉だ。そして、企業において信頼感を持って遇されるのも、何があってもやり遂げる堅い信念を持つ仕事人。そういった"貫徹"の気概をアピールする持ち物として、同社のラゲッジはまさに適役と言える存在だ。
1938年に創業した「ゼロハリバートン」は、航空エンジニアの分野から生まれたアルミニウム合金製アタッシェケースが認められ、世に知られるブランドとなった。その信頼性の高さから1969年のアポロ計画では、月の石の運搬という大役を担ったほどだ。洗練されたデザインと頑丈さが多くの著名人や各界からも支持されており、あらゆる重要書類を運ぶブリーフケースを選ぶなら「ゼロハリバートン」だと言われている。
2008年からは軽量・耐久性に優れる樹脂トランクも手掛けているが、同社アイテムの特性として、どのプロダクトも男の所有欲を刺激する特別なスペックであることは見逃せない。運搬具として完璧であることに加え、どこかコレクタブルな魅力も兼ね備える。それが「ゼロハリバートン」のラゲッジだ。
メタルの輝きが重厚な存在感を主張する
「ゼロハリバートン」の次世代を担うアルミニウムシリーズである「Geo Aluminium3.0」。伝統のダブルリブ外装に加え幾何学的かつ三次元的なフォルムは、重厚な機能美を放つ仕上がり。なかでもこのモデルは、1~2泊の出張に適したミニトロリー。内装は3つの荷室に分かれており、シャツやタイ、書類関係、それにPCなどを種類別に収納できる構造。熟成の二輪キャスターには独自の静音技術を導入。重い荷物の持ち運びもスマートかつ滑らかに行える。置き忘れや紛失、盗難にあっても安心の独自プログラム「ZEROグローバルトラッキングプログラム(ZGT)」を搭載する。
整理収納を可能とした内装は蛇腹式。直立したまま本体をオープンして荷物を取りだせるデザインとなっている。
手提げ・肩掛け・背負いも可能な3ウェイ
伝統のダブルリブ・エンブレムをあしらった「プロファイル」シリーズは、ナイロンブリーフにおける最上位モデル。本体には耐久性に優れた高密度ナイロンをメインに、スムースレザーをコンビ使いするなど高級感も兼備する。内部はB4サイズ収納を基本とし、ノートPCやタブレット端末用の収納ポケットに加え、多目的オーガナイザーも併設する。<手提げ・肩掛け・背負い>の3通りの持ち方が可能な3ウェイ型もポイントだ。
背面部分の収納にはバックパック用のストラップが内蔵される。必要に応じて両手フリーの移動スタイルもとることが可能。ハーネスには肩からのずり落ちを防ぐチェストストラップも付属する。
大きく開く荷室は使い分けが容易な2コンパートメント構造。それぞれの荷室に15インチまでのPC収納に適したクッションポケットを装備。外部のフロントポケットには細々としたビジネスツールも収められる。
ミニクラッチとしても活用できる
繊細なシボ(革のシワ)が有機的な味わいを放つフルレザーのショルダーバッグ。コンパクトでありながら内部は便利な2室仕立て。センターの仕切り自体もジップポケットとなっており、多彩な収納を備えている。ショルダーは脱着式ゆえに小型のクラッチバッグとしても利用可能。しっかりと本体をホールドできるハンドストラップがデザイン的なアクセントになっている。
内部は月から見た地球を想起させる鮮やかな“ゼロブルー”内装。メインの2つの荷室にはそれぞれ小物ポケットが取り付けられており、ペンやスマートフォン、キー類などを種類別に収められる。
styling:Mariko Kawada
edit & text:Zeroyon Lab.
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)