ベーシックなネイビースーツは、ディテールにこだわってこそ。
ネイビースーツにストライプシャツ&レジメンタルタイのVゾーンメイクは、ウィークデイのビジネスマンなら誰もが真似しやすいコーディネートだ。シャツとネクタイのピッチ(縞幅)に差をつけるのはコーディネートの基本。同じぐらいのピッチだと、Vゾーンが締まらず“うるさく”感じてしまう。
畠中さんはネクタイにグリーンを使うことで、トレンド感をプラス。ネイビースーツの場合、ネクタイにはブルー、ブラウン、白黒グレーなど、ベーシックなビジネスカラーをあわせることが多いもの。グリーンは長いことトレンドの俎上になかった色だが、昨今は英国クラシックの人気もあってか、ロイヤルカラーとして注目されることが多く、このぐらいの分量で使うと洒脱な印象を醸してくれる。
ビジネスウェア担当ゆえ、お客様に自分のコーディネートをそのまま真似してもらえるコーデが信条。そのためできるだけスタンダードなアイテムを着るように努めている。とはいえそこはプロ。一見、スタンダードだが、見る人が見れば、アイテムはどれもこだわって選ばれていることがよく分かるのだ。
スーツは細身だが、ラペルのラインやウェストの絞り具合、フラップレスの両玉縁ポケットなどには、かなりのこだわりが見て取れる。このスーツ、伊勢丹専属テーラー山口信人氏が手掛けるラ・スカーラでオーダーしたもの。どことなく気軽な印象を漂わせるのはカッティング&シルエットとともに、ラペルの内側に配したステッチングにもある。まるでブレザーのようなラペルステッチが施されているのだ。しかもフロントダーツはポケットを縦に貫いて裾まで通っている。縦のラインを強調して力強く見せ、男らしさ漂う一着に仕上がっているのだ。
畠中さんが細部にこだわる様子は、時計からも伺える。シャイノラの時計は、ストライプのリボンベルト。アクセサリー的に時計を楽しんでいることが、よく分かるのだ。ポケットチーフの縁取りがさりげなく緑になっている点にも注目したい。
text:Zeroyon Lab.
photograph:Yuko Sugimoto