第十六回「シャツ一枚の装いがだらしなく見える問題」

「残暑厳しいこの時期に一体何を着たらいい?」

【A】あ~、今日もまだまだ残暑厳しくて暑いね~。

【K】そうね、でももう街は秋一色よ。どのお店も秋冬物のオンパレード。ファッション業界はすでに真冬なのよね……。

【A】この時期って、昼夜の寒暖差もあるから何を着ればいいか悩んじゃう。

【K】オシャレ番長としては、秋物に完全シフトしたいところだけど……。まだまだ暑くて、夏の装いを引きずりがち。

【M】暦の上ではもう秋なんだろうけど、これだけ暑いと季節感を無視した装いは違和感があって、かえって悪目立ちしてしまいそう。さりげなく季節を取り入れていくのが大切よね。

【A】男性たちも、まだジャケットを着こむのは難しそう。まだまだシャツ一枚という人が大半ね。でも、私、長袖シャツの袖をまくり上げている男性って結構好きのよね~。

【M】【K】同感(笑)!

「夏から秋への季節の変わり目に長袖シャツでキメル!」

LUIGI BORRELLI(ルイジ ボレッリ)3万4000円(税別)「1957年にイタリアはナポリで創業。平面的で硬い縫製のシャツが一般的だった時代に、人体を徹底的に研究し、手仕事を取り入れることで最高峰の着心地と言われるシャツを生産しているルイジ ボレッリの一枚です。なかでも、今回ご紹介しているシャツは“世界でもっとも美しいセミワイドカラーシャツ”と謳われる襟型『LUCIANO(ルチアーノ)』です。ナポリシャツの特徴でもある衿腰が高めに設計されたデザインですが、衿羽根は上着のラペルから跳ねず、ノットの収まりが良い前台衿のコンビネーションが計算され尽くしたドレスシャツの黄金比を演出しています。ネクタイをしても、ノーネクタイでも衿元をキレイにみせてくれるルイジ ボレッリの代表的な襟型です。」(エストネーション 佐藤さん)
「現在は、一般的にミシンによる縫製で仕立てられる硬い印象のシャツが多い中で、ルイジ ボレッリのシャツは随所に手縫いを取り入れることでナポリ特有のソフトな仕立てを実現しています。衿付け、ヨーク、ボタン付け、ボタンホール、ガゼッド、前立てなど、シャツのポイントとなる重要なディテールは全て手縫いを採用。『とりあし』と呼ばれる独特な付け方のボタンは手縫いならではですよね。剣ボロの開閉で負荷が掛かる部位には、手縫いによるカンヌキ止めを行い、ソフトでありながら耐久性の高い頑丈なシャツに仕上げられています。」(エストネーション 佐藤さん)

【M】シャツ一枚で過ごすときにポイントになるのは、きちんとした衿よね。

【K】確かに! 衿がノーネクタイ仕様になってないシャツを着ていると、ネクタイがあって完成のシャツから何かが足りない=だらしないという印象よね。第一ボタンを開けているから衿の片方がだらっとなってしまったり……すごく残念な装いになる。

【A】シャツ選びのポイントは衿の形なのかしら?

【M】その通りね! スーツやジャケットスタイルにノーネクタイの装いは、衿形や幅一つで印象が大きく違ってきてしまうから、シャツ選びの時に形や衿付けにはこだわってほしいわよね。

【K】ネクタイをしないときはボタンダウンで乗り切ってしまうなんていうのもありなのかしら……。

【M】勿論ボタンダウンも悪くはないけど、ボタンダウンってカジュアルなのよ。元々ポロ競技のときに衿がバタつかないように考えられたものだからね。一枚でビジネスにはちょっとね。きちんとしたビジネスに着用できるもので、衿元の作りによっては、ネクタイありでもなしでもキマるシャツってあるわよね。イタリアの老舗ルイジ ボレッリでは、デザインはもちろんのこと、衿付けやヨーク、前立てなど、シャツのポイントとなる重要ディテールは全て手縫いを採用していて、衿元だけでなくディテールに徹底的にこだわっているのよ。シャツの大切な要素である、虹色に輝くシェルボタンも美しかった~。仕立てよく、質のいいシャツというのは一目瞭然! なおかつ、着ている人も美しくみせてくれるのよね。

「色使いで季節を先取りしてみる」

LUIGI BORRELLI(ルイジ ボレッリ) 2万8000円(税別)カラー:ブラック、ブラウン、ブルー「ボレッリのカジュアルシャツラインから一枚ご紹介します。日本のリクエストで誕生した『FELICE(フェリーチェ)』という衿型で、衿腰が従来より高く、衿羽根が水平に近い角度で開くのでシャープな印象です。エレガントで開放感のある佇まいから、今ではノーネクタイで使えるシャツとして広く親しまれていて、クールビズスタイルにもお勧めしたい一枚ですね。衿全体に上等なフラシ芯を使用することで自然なふくらみを与え、ナポリシャツらしい独特な色気を生み出しています。第一ボタンを外すと衿羽根が後方へ流れて美しく色気のある表情が生み出されるので、涼しく、ちょっぴりセクシーさも演出できますね(笑)。前台衿風のデザインになっているのでタイドアップも可能です。ときにはセクシーに、ときにはきちんと着られる、いいとこ取りのハイブリッド衿型です。」(エストネーション 佐藤さん)

【M】茶色を中心としたアースカラーは、秋らしいと言われる色の特徴だけど、色使いで季節を先取りするなんていうのもアリよね。

【A】ビジネスには白や青、水色を中心としていた色使いに対し、カジュアルではアースカラーをポイントにすると、格段に秋らしい雰囲気になるわね!

【K】色で季節感を出すなんて、お洒落!

【M】衿元がしっかりしているものを選べば、ノーネクタイでもだらしなくならず、シャンとした印象。ホワイトだとフォーマルっていう印象になるけど、色の入ったものだといい感じにドレスダウンして普段使いしやすそうだしね。

【A】ボタンを留めてキレイ目に着こなすのもいいし、私服の場合だったら、Tシャツに羽織っただけのラフな着こなしも良さそう。

【K】シャツとして一枚でも、軽いジャケット感覚でも着られて、着回しも抜群ね。

【A】初秋から晩秋、そして真冬へ……色味や、素材をどんどん季節によって変えていくことで、季節の移り変わりをファッションで楽しんでいるのって凄く素敵。そういう人は、きっと装いだけでなく、日常生活の中でも季節を愛でているんだろうな~。旬の食材を使ったお食事や、その時期のお花を飾ったり、イベントなんかも楽しんでそう!

【K】妄想始まった~(笑)

【今回ご協力いただいた方】

エストネーション メンズPR 佐藤浩貴さん
プレスルームに通された私たちの前に、颯爽と現れた佐藤さん。一瞬モデルさんと勘違いしたほど、スタイルもスタイリングも抜群。その見た目とは裏腹に、親しみやすい笑顔と口調で分かりやすく紹介してくださった最新クローズに、スタッフは感嘆とため息を繰り返したのでした。

【男の身だしなみ向上委員会 by re*colabo】

<委員会設立の趣旨>
今の時代、仕事をする上でどれだけ女性の心を掴むかというのは大きなアドバンテージ。そこで、男性の身だしなみを女性たちは実際にどうみているのかを、女性ファッションライターの目線から本音で語ります。身に付けるものは、本人のイメージを左右する重要なファクターであり、気付いていなかったことを改善することにより、改めて身だしなみを整える一歩になれば嬉しく思います。

re*colabo
女性誌出身のクリエイティブ&ライターチーム。これまでに光文社「STORY」、講談社「フォルツァスタイル」など数々の媒体や、書籍で執筆。また、航空会社のオリジナル商品を手掛けるなど、女性ならではの視点で多くのヒット商品を生み出している。その他、女性の心を鋭く分析するマーケティング調査が人気であり、大手化粧品会社ほか、さまざまな企業から依頼を受けている。

マリ(中央)
re*colabo代表。ファション系出身ライター。「大人だからできる」シックなコンサバを推奨。内面を映すスタイリングに定評あり。

クミ(右)
元バンカーの生真面目ライター。ファション、グルメ、トラベルなど多岐に渡り執筆。シンプルで「カッコいい」装いが得意。re*colaboで一番マナーやルールに拘りあり。

アキ(左)
人物取材が得意。10代半ばから20代後半まで、フランスとアメリカへ留学。結婚を機に夫の転勤に伴いアメリカにて駐在妻を経験。帰国後ライターに。

photo:Ayako Nakamura
text:re*colabo