第二十四回「タートルネック・ハイネックが野暮ったい問題」
「年を重ねるごとに高い襟が似合わなくなる?」
【K】マリ姉、タートルネックが似合うね~。
【M】ありがと~♥ これ、顔やスタイルとのバランスを確認しながら吟味したの。タートルネックは、ネック部分のボリューム具合やニュアンスの付け方によっては野暮ったくもなるじゃない?
【A】そうそう、意外と難しいアイテムだと思う。苦手って人、よくいるわ。ちゃんと折るのか、立てるのか、折らずにクシュッとさせるのか。その人の骨格によって似合う似合わないがあるものね。
【K】そうそう。お顔の小さい人が、大きめのネックを立てるとエリマキトカゲになっちゃうし、首が太い男性がピタッとしたタートルを着ていると、息苦しそうに見えるし。
【M】さらにネック長めで顎下までピタッとしていたら、40代のお疲れ顔だと、それがボンッて強調され過ぎて怖いかも。
【K】カオナシや、もじもじくんみたいになっちゃうもんね。
【A】もうやだ、クミ(笑)! デフォルメし過ぎ! でも、分かり易い(笑)! 年齢を重ねると、タートルやハイネックが似合わなくなったって耳にするけど、お疲れ顔を強調してしまうせいかも?
【K】タートルとハイネックは難しいな!モックネックなら襟が低いから悩まなくて済むわね。
【A】モックネックって、スティーブ・ジョブズのイメージだなぁ。凄く似合っていた。
【K】わかる! シンプルで知的、本人のカリスマ性をさらに引き立てて。あれが、究極のノームコア?
【M】シンプルなアイテムの組合せでも、いかに自分自身の魅力を表現するかが大事よね。失敗するとただの地味な人になっちゃう。やっぱり素材やシルエットがものをいうのよね。
【A】スティーブ・ジョブズのモックネックも、ISSEY MIYAKEのスペシャルオーダー品だったみたい。
【K】さりげな~く着ている風で、こだわっていたのね。
「薄ハイゲージが渋くてセクシー」
【M】さっき廊下ですれ違ったミドルエイジの男性も、ブラウンのジャケットを手に、黒のモックネックを合わせていてスタイリッシュだったなぁ。パンツも黒だったからIライン効果でスタイルが良く見えたわ。
【A】見た。渋い上に、なんだかセクシーな雰囲気を漂わせていたわね。
【K】薄いハイゲージだったから、ゆったりめでも胸の筋肉がなんとなくわかったよね。私、ジッと見ちゃった。「ナイスミドル!」って、声掛けしたかったくらい。
【M】やめて(笑)。私たち他人のフリをするからね! ビジカジにも、モックネックは取り入れ易いかもね。すっきりとした見た目に加え、コートやマフラーの邪魔もしないし。
【K】折ったり、立てたり迷わなくていいしね。そんなの仕事中に気にしていられない。あと、チクチクするのも嫌だ。私、肌が弱いからすぐに首周りが赤くなるのよ。
【M】私のこのニット、メリノウールなんだけど、柔らかくて全くチクチクしないの。
【K】メリノ種の羊だっけ? 触っていい? 本当だ。見た目以上に柔らかい。この品のいい光沢感も上質! って感じ。
【M】調温機能も高いから、暑くて蒸れるってこともないし、しっかり暖かいの。さらに、天然の防臭効果があるから、靴下にも採用されているわ。
【A】3日履いても臭わなかったって、誰かが言っていたのを思い出した……、さすがにそれはね。取り合えず、ビジカジには、メリノウールのモックネックが最強そうね。
「ウィンターホワイトで冬の貴公子になる」
【M】タートルネックやハイネックが似合わないと思っている人でも、まずは普段着にモックネックを試してみてもいいかもね。
【A】男性が白いニットにデニムを合わせたスタイル、めちゃくちゃ好き♥
【K】わかる~♥ 冬の街はダークカラーで溢れるから、白はハッとするのよ。まるで冬の貴公子。女子ウケいいよね。
【A】ゆったりしたミドルゲージ、だけど計算されたシルエット……爽やかでない人も、爽やかにみえるわぁ~……
【M】あ、またいつもの妄想に入った! ま、冬が楽しみになってきたからいいか(笑)
【今回ご協力いただいた方】
彼のご登場に、思わず後ずさりしそうになったほどのオーラの持ち主。「何でも知っている玄人感」を漂わせつつのジェントルマンな応対が印象的でした。さらに驚いたのが、大学の卒業を待たずにイタリアのサッカーリーグに所属されたという異色の経歴。「爽やかさをウリにしていた時代もありました」とハニカミながら微笑む新井さんにスタッフは胸を射抜かれたのでした。
【男の身だしなみ向上委員会 by re*colabo】
今の時代、仕事をする上でどれだけ女性の心を掴むかというのは大きなアドバンテージ。そこで、男性の身だしなみを女性たちは実際にどうみているのかを、女性ファッションライターの目線から本音で語ります。身に付けるものは、本人のイメージを左右する重要なファクターであり、気付いていなかったことを改善することにより、改めて身だしなみを整える一歩になれば嬉しく思います。
re*colabo
女性誌出身のクリエイティブ&ライターチーム。これまでに光文社「STORY」、講談社「フォルツァスタイル」など数々の媒体や、書籍で執筆。また、航空会社のオリジナル商品を手掛けるなど、女性ならではの視点で多くのヒット商品を生み出している。その他、女性の心を鋭く分析するマーケティング調査が人気であり、大手化粧品会社ほか、さまざまな企業から依頼を受けている。
マリ(中央)
re*colabo代表。ファッション系出身ライター。「大人だからできる」シックなコンサバを推奨。内面を映すスタイリングに定評あり。
クミ(右)
元バンカーの生真面目ライター。ファッション、グルメ、トラベルなど多岐に渡り執筆。シンプルで「カッコいい」装いが得意。re*colaboで一番マナーやルールに拘りあり。
アキ(左)
人物取材が得意。10代半ばから20代後半まで、フランスとアメリカへ留学。結婚を機に夫の転勤に伴いアメリカにて駐在妻を経験。帰国後ライターに。
photograph:kuma*
text:re*colabo