服地作りで培ったスピリットを継承する
紳士の服はシンプルかつクラシックなデザインのものを選択すべきだ。トレンドに左右されず、合わせるアイテムを選ばない懐の深さが着る人自身を際立たせ、スマートな紳士像を作る上では欠かせない要素になる。とはいえ、クラシックに傾倒しすぎると、時代遅れな印象に映ることも否めない。そこで靴や鞄といった小物に程良くモダンなエッセンスを取り入れると、温故知新の精神が息づく成熟した大人の身だしなみとなる。
今回、黒の逸品として紹介するエルメネジルド ゼニアは1910年にイタリアで誕生。その出自は、自社で原毛を買い付け・生産を行う最高品質のファブリック製作にはじまり、その後既製服の分野にも進出し、高い評価を得てきた歴史がある。今なお最高級のイタリアンスタイルを発信し続けているが、レザーコレクションにも定評があるのはご存知だろうか。今年新たに登場した革のショルダーバッグは、服地作りから始まったブランドのアイデンティティを感じられる逸品だ。最たる特徴ともいえる美しく正確に織り込まれた革は、洋服の生地を織るようにして織機を通して織り込んでいる。そのため、柔らかくしなやかで、使い心地は抜群だ。見た目も男物特有の無骨さがなく、女性が持っても違和感のない、ボーダーレスな洗練美を備えている。
着こなし同様、鞄にもTPOは必要だが、エルメネジルド ゼニアのレザーバッグならオフのいかなるシチュエーションにも対応してくれるだろう。控えめでさりげなく、気品がある。紳士に必要な条件が見事に体現されている。
問い合わせ情報
ゼニア カスタマーサービス
TEL:03‐5114‐5300
text:Masato Nachi
photograph:Kazuya Aoki
styling:Yoshiki Araki